...水の上に臙脂(べに)を流す美しい朝焼けの空...
安西冬衛 「大阪の朝」
...臙脂(えんじ)紫(むらさき)あかあかと...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...臙脂(べに)を持っておいで」女(むすめ)が臙脂を持って来ると...
田中貢太郎 「蠅供養」
...少しはなれた所から見ると臙脂色(えんじいろ)の団塊の周囲に紫色の雰囲気のようなものが揺曳しかげろうているように見える...
寺田寅彦 「雑記帳より(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
...臙脂色の襟から覗き出してる頸筋に...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...着物の沈んだ臙脂色の縞柄に...
豊島与志雄 「秦の憂愁」
...田舎めいた臙脂の襟元がくずれて...
豊島与志雄 「道化役」
...臙脂虫(えんじむし)...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...夜臙脂を煮て原稾用罫帋を摺ること四五帖なり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...頬へ臙脂を差したり...
正宗白鳥 「新婚旅行」
...すんなり枝を延ばし梢高く、樹肌がすべすべで薄紅のに、こちゃこちゃ、こちゃこちゃとかたまって濃緑、臙脂、ぱっとした茶色などの混った若芽が芽ばえ出している...
宮本百合子 「九州の東海岸」
...これは紅紫かと思われる濃い色の小袿(こうちぎ)に薄臙脂(えんじ)の細長を重ねた裾(すそ)に余ってゆるやかにたまった髪がみごとで...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...小豆が臙脂(えんじ)色のなまめかしい光沢を放っている...
横光利一 「夜の靴」
...臙脂組(えんじぐみ)のハンケチ女の群だった...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...「そうでござりましたか……」と臙脂(えんじ)と匂(にお)い袋(ぶくろ)の強い薫(かお)りが...
吉川英治 「剣難女難」
...妃たちの溶く化粧のものの香や臙脂(えんじ)の艶(なま)めきが漂うなども...
吉川英治 「私本太平記」
...臙脂皿(べにざら)や櫛は筥(はこ)のうちにふかく潜(ひそ)められたまま...
吉川英治 「親鸞」
...臙脂(べに)を点じて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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