...何も臙脂(えんじ)をぼかしたのではない...
芥川龍之介 「好色」
...臙脂(えんじ)紫(むらさき)あかあかと...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...臙脂(べに)を持っておいで」女(むすめ)が臙脂を持って来ると...
田中貢太郎 「蠅供養」
...夜臙脂を煮て原稾用罫帋を摺ること四五帖なり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...仄(ほのか)に臙脂の隈取(くまどり)をなせるは正に佳人の爪紅(つまべに)を施したるに譬ふべし...
永井荷風 「来青花」
...臙脂屋などと肩をならべ堺十人衆の中座にすわり...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...臙脂(えんじ)の入った滝縞のお召に古金襴の丸帯をしめ...
久生十蘭 「予言」
...夕風が蒔(ま)き敷く紅葉のいろいろと、遠い渡殿(わたどの)に敷かれた錦(にしき)の濃淡と、どれがどれとも見分けられない庭のほうに、美しい貴族の家の子などが、白橡(しろつるばみ)、臙脂(えんじ)、赤紫などの上着を着て、ほんの額だけにみずらを結い、短い曲をほのかに舞って紅葉の木蔭(こかげ)へはいって行く、こんなことが夜の闇(やみ)に消されてしまうかと惜しまれた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...黒の上着の下から臙脂(えんじ)...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...童女は臙脂(えんじ)の色の汗袗(かざみ)に...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...つましい経済では白粉や臙脂はかなり贅沢につくし...
山本周五郎 「日本婦道記」
...その臙脂(えんじ)色の薄ぼけた頬から...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...(十一月廿八日)彼南(ペナン)臙脂(ゑんじ)の中に濃(こい)い橄欖(オリイブ)を鮮かに交へた珍しい曙光(しよくわう)を浴びた我船(わがふね)は徐徐(じよじよ)とマラツカ海峡の西の出口ペナン島の港に入(はひ)つた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...見ている間に臙脂(えんじ)色のあぶらを泥濘(ぬかる)みにひろげ...
吉川英治 「篝火の女」
...大田町には臙脂組...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...入念に黛(まゆずみ)や臙脂(べに)をあらためてから立った...
吉川英治 「私本太平記」
...だから十人衆の会所のうちでも能登屋(のとや)とか臙脂屋(えんじや)とかいう古老は別格としても...
吉川英治 「新書太閤記」
...娘の朱実に劣らない臙脂(べに)を紅々(あかあか)と溶かしている唇...
吉川英治 「宮本武蔵」
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