...逸子には心外とも何とも云ひやうのない口惜しい腹立たしい気持ちで一杯になるのであつた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...登志子の興奮した荒く波立っている心に小父さんの小言は堪えきれない程腹立たしいものだった...
伊藤野枝 「わがまま」
...そしてまた僕自身の頭の古さが腹立たしいやらであった...
海野十三 「海底都市」
...みなさん私のロココ料理をたべて、私の腕前をほめてくれて、私はわびしいやら、腹立たしいやら、泣きたい気持なのだけれど、それでも、努めて、嬉しそうな顔をして見せて、やがて私も御相伴(ごしょうばん)して一緒にごはんを食べたのであるが、今井田さんの奥さんの、しつこい無智なお世辞には、さすがにむかむかして、よし、もう嘘は、つくまいと屹(き)っとなって、「こんなお料理、ちっともおいしくございません...
太宰治 「女生徒」
...恋いしさが募(つの)れば募るほど、なんやかやと話しかける夫がうるそうて、腹立たしいて、ろくさま返事もせんと一日ふさぎ込んでましたよって、その時からもう夫の方は一ぺん懲(こ)らしてやらんならんと考えたらしいのんです...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...何と意地わるく人間をからかうものなのだろう! それに想い到ると実に腹立たしい限りではないか! スタールツェフはそんなことを考えていたが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...腹立たしい気持でゐた...
中戸川吉二 「イボタの虫」
...次のような腹立たしい矛盾を見る...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...あんな記事は腹立たしいものだろうと信じます...
宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
...子は腹立たしい気にならずには居られなかった...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...宏子は腹立たしいような気持になって来た...
「海流」
...瀧子は腹立たしいおかしさをやっと堪えた...
「鏡の中の月」
...恐縮な顔は自分でも滑稽であるが又腹立たしいところもあります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...何日にかえるでは行ったっておちおちしなくて腹立たしい...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...これは殆ど腹立たしいことです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...……お松は腹立たしい好奇でそれをチョッピリ噛んでみた...
矢田津世子 「反逆」
...彼は腹立たしい淋しさの中で次第にルイザが不快に重苦しくなって来た...
横光利一 「ナポレオンと田虫」
...どじな奴め」と人知れず腹立たしい舌打ちをしたことである...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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