...おなかが痛いみたいに左の手のひらを腹掛けに軽く押し当て...
太宰治 「貨幣」
...自分の腹掛けから三文ばかりつかみ出し...
太宰治 「新釈諸国噺」
...おれの腹掛けから取り出した銭とも知らないで...
太宰治 「新釈諸国噺」
...腹掛けなどから銭を取出す事のないように...
太宰治 「新釈諸国噺」
...私の腹掛けから取り出したものでございますから...
太宰治 「新釈諸国噺」
...右の手と頭に繃帯をしたシャツに腹掛けの運漕屋の親方らしい男が腰をおろしていた...
田中貢太郎 「死体の匂い」
...そこへ腹掛けに半纏(はんてん)を着込んだ十三...
徳田秋声 「足迹」
...鵞鳥鵞鳥に腹掛けかけさせてみんなで遊びにつれてゆこ玩具(おもちや)屋の表は駈けて通ろみんなで ならんで駈けて通ろ鵞鳥も一緒に駈けるだろ長い頸ふりふり駈けるだらう...
野口雨情 「十五夜お月さん」
...一日いれば一日の難儀だ――ちょうど今頃が逃げ出す潮時だんべい」「有難(ありがと)う宇太松どん、私は如来様なんかになりたくはない」「人間は人間商売に越したものは無いよ」「宇太松どん」「そのなりで道中はなるめえ、少し汗臭いが俺のよそ行きがあるから男姿になるがいい」宇太松の出してくれた盲目縞(めくらじま)の袷(あわせ)、腹掛け、股引、お竹は灯に背いて手早くそれを着ると、手拭で頭を包んで、白足袋にわらじをはきました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...五番目は同じ作でも江戸生れ雷を真似て腹掛けやっとさせこの二句にはじまる江戸の風物詩百六十六編が...
野村胡堂 「胡堂百話」
...腹掛けの皺(しわ)や...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夜になると、人力車さえ通らない、この大店ばかりの町は、田舎のように静かで、夜が更け冴(さ)えて、足袋やさんが打つ砧(きぬた)が――股引(ももひき)や、腹掛けや、足袋地の木綿を打つ音が、タン、タン、タン、タン、カッツン、カッツンと遠くまで響き、鼈甲(べっこう)屋さんも祝月(いわいづき)が近づくので、職人を増し、灯を明るくして、カラン、カン、カン、カランカンカンと、鼈甲を合せる焼ゴテの鐶(かん)を、特長のある叩(たた)きかたで、鋭く金属の音を打ち響かせている...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...油断したばっかりに!」腹掛けの丼の中へ手を突っこんでギラリと匕首(あいくち)を引きぬくと...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...丼のある紺の腹掛けの両側に...
火野葦平 「花と龍」
...腹掛けから出した手紙を渡した...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...松田は腹掛けの丼から匕首を出して...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...綿のように脹らんでいる饅頭を腹掛けの中へ押し込むと馭者台の上にその背を曲げた...
横光利一 「蠅」
...そうして、腹掛けの饅頭を、今や尽(ことごと)く胃の腑(ふ)の中へ落し込んでしまった馭者は、一層猫背を張らせて居眠り出した...
横光利一 「蠅」
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