...それがせめてもの腹いせだった...
有島武郎 「星座」
...それがせめての腹いせのようだった...
高見順 「いやな感じ」
...それでも、やはり周さんが話したように、教室のうしろの方の古狸連中は、何でも無い事にどっと笑い崩れたりして騒いでいたが、それは私の観察したところでは、かの落第生たちは、藤野先生のこんな几帳面(きちょうめん)すぎると言っていいくらいの真剣な講義に圧迫を感じ、かえって虚勢を示し、われら古参の兵には、こんな講義など可笑(おか)しくてかなわぬ、新入生たちよ、そんなに緊張しなさんな、という示威運動を試みているだけのものの如く思われ、ひょっとしたら、あの連中は全部、藤野先生の解剖学で落第点をもらって、その腹いせに、あんな無意味な騒ぎ方をしているのではないかしらと疑いたくさえなった程で、とにかく、藤野先生の講義そのものは、決して私の予期していたような春風駘蕩(たいとう)たるものではなく、痛々しいくらいに、まじめで、むきなものであった...
太宰治 「惜別」
...思いきり悪がきいて腹いせにもなって...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それをせめての腹いせにするのではないかという気もする...
永井荷風 「ひかげの花」
...私達の心には期待を裏切られた腹いせの滿足と...
南部修太郎 「猫又先生」
...手落も罪もなくて暇(ひま)になる腹いせに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...宇佐美がお浜ちゃんに嫌われた腹いせ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ことに敵うち物の不快な横行に対する腹いせの意味も偶して「敵討記乎汝」とやったところはわれながら上できだと思った...
林不忘 「仇討たれ戯作」
...腹いせに煙草を喫ひ出してみたのだと...
林芙美子 「濡れた葦」
...本来なら、腹いせに、事務所のまん前で、舌噛んで、死んでくれるところじゃが、お前が後(あと)をやってくれるちゅうんなら、我慢する...
火野葦平 「花と龍」
...腹いせに八等官の頬といわず...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「鼻」
...家門の顔汚しのように思われていた昔の腹いせに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...(a)お金をなくした腹いせに...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...腹いせにその悪口を言ってやろう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...大きくなったな」栄二は自分だけの腹いせめいた気持でにやっとした...
山本周五郎 「さぶ」
...腹いせまぎれもあるが...
吉川英治 「私本太平記」
...その腹いせだの仕返しだのッて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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