...一槌ごとに、むき出しになって行く、裸女の腐肉...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...灰色の腐肉が続いているのは...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...しかるに天南星科の植物には腐肉の如き臭気を発する花の咲くものがあるが...
丘浅次郎 「いわゆる自然の美と自然の愛」
...若くして悶死した魚の腐肉だ...
谷譲次 「踊る地平線」
...これはかれらが腐肉(ふにく)や糞堆(ふんたい)をその定住の楽土(らくど)としているからであろう...
寺田寅彦 「蛆の効用」
...また他の学者はある種の鶚(みさご)の前へカンバスで包んだ腐肉を置き...
寺田寅彦 「とんびと油揚」
...それからまた後の例でも鮮肉を食ったために腐肉のにおいに興味がなくなったのかもしれない...
寺田寅彦 「とんびと油揚」
...いかにして地上の腐肉から発散するガスを含んだ空気がはなはだしく希薄にされることなしに百メートルの上空に達しうるかということである...
寺田寅彦 「とんびと油揚」
...一八一五年は獲物の腐肉である...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...くづれる肉體蝙蝠のむらがつてゐる野原の中でわたしはくづれてゆく肉體の柱(はしら)をながめたそれは宵闇にさびしくふるへて影にそよぐ死(しに)びと草(ぐさ)のやうになまぐさくぞろぞろと蛆蟲の這ふ腐肉のやうに醜くかつた...
萩原朔太郎 「青猫」
...腐肉をあさるような奴じゃないし...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...三つき目の今日は早もと通りで再び病院へ奉公しなきゃもう持ち堪えんこれがあたしの考えた犠牲的奉仕の報酬だってさええ! くそ癪に触わる群がる鴉どもに此の腐肉をつつかせて(消毒もせずに其の儘)羅馬(ローマ)の滅亡でも偲ぼうかなあ……――五月二十二日...
細井和喜蔵 「泥沼呪文」
...運命の暗い月夜を翔けさり夜浪によごれた腐肉をついばみ泣きゐたりしがああ遠く 飛翔し去つてかへらず...
堀辰雄 「「青猫」について」
...蛙の腐肉を蟻の穴へと手伝って運んでやる...
松永延造 「職工と微笑」
...その時に出て来た屍体の白い腐肉...
夢野久作 「江戸川乱歩氏に対する私の感想」
...何ものでもない腐肉の如きものだと思われるのであった...
横光利一 「旅愁」
...わざわざ長崎から高価な代金をもって取り寄せた材料をつかわずに、むさい墓場などを掘り返して」「な、なにをいってやがんでい」「墓場をあばいて、死人の腐肉から、何をとるつもりなのだ...
吉川英治 「銀河まつり」
...主人公がいささかな腐肉の附いた牛骨を道で拾い...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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