...……自分ながらおれはばかになり腐ったらしいて」そういって葉子の首を固くかきいだいた...
有島武郎 「或る女」
...その声からして死んだものらの腐った肉のにおいが聴かれるようだ...
岩野泡鳴 「耽溺」
...たまたま腐った蛋白を喰って中毒した人があったからと云って蛋白質を厳禁すれば衰弱する...
寺田寅彦 「変った話」
...赤くなって腐ったり...
直木三十五 「大阪を歩く」
...この辺は湿気のひどいところで、天日の届かぬ床下に三年以上埋(うず)められたのですから、地湿りと黴(かび)で、滅茶滅茶に傷んでおりますが、埋めた時のままに相違はなく、腐った麻縄や、歪んだ蓋にも、後から手を加えた様子は見えません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それを腐った西瓜(すいか)のように叩き割られちゃ――」「解ったよ八...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――その腐った御家人の株を買って倅を二本差にしようなどとは悪い料簡(りょうけん)だぜ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...辛いなと思うけれども、それで、シゲキを受けることもひといちばいのせいか、すっかり呆んやりしてしまって、腐った、魚みたいに、二、三日蒲団(ふとん)をかぶって寝てしまう...
林芙美子 「生活」
...番台では汚れ腐った白上衣を着た角刈の中僧が無精な科(しぐさ)でコップをゆすいでい...
久生十蘭 「金狼」
...何をいい出す」踏絵は不貞腐ったようすで煙草の煙を噴き上げながら...
久生十蘭 「魔都」
...息は腐った熟柿(じゅくし)のような匂いがした...
山本周五郎 「季節のない街」
...舷側の爆(はじ)けた腐った小舟には...
横光利一 「上海」
...直接腐った肺臓を攻撃した...
横光利一 「花園の思想」
...腐ったままでいるような柴田修理勝家ではない...
吉川英治 「新書太閤記」
...腐った西瓜でも喰らって...
吉川英治 「宮本武蔵」
...番が見つけたっていうから終電車にやられたらしいナ』と腐ったような顔をしていうのです...
蘭郁二郎 「穴」
...今でもその腐った藁のような土の臭いなどが鼻を掠めることがあると...
若杉鳥子 「雨の回想」
...息をしている死人や腐った頽廃者などの特権だ...
和辻哲郎 「ベエトォフェンの面」
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