...けだし慈愛に富める親爺はけっしてその子に半分腐った饅頭を与えぬと同じ理窟で...
丘浅次郎 「いわゆる自然の美と自然の愛」
...間もなく女は腐った肉を切りとったが...
田中貢太郎 「嬌娜」
...其処には水で腐ったお岩の骨ばかりの死骸があった...
田中貢太郎 「南北の東海道四谷怪談」
...あの、爛れた愛慾、腐った愛撫……...
豊島与志雄 「操守」
...髪洗橋(かみあらいばし)などいう腐った木の橋が幾筋もかかっていた...
永井荷風 「里の今昔」
...苔(こけ)の生えた鱗葺(こけらぶ)きの屋根、腐った土台、傾いた柱、汚れた板目(はめ)、干してある襤褸(ぼろ)や襁褓(おしめ)や、並べてある駄菓子や荒物(あらもの)など、陰鬱(いんうつ)な小家(こいえ)は不規則に限りもなく引きつづいて、その間に時々驚くほど大きな門構(もんがまえ)の見えるのは尽(ことごと)く製造場であった...
永井荷風 「すみだ川」
...女の腐ったようだ」「こりゃ...
中里介山 「大菩薩峠」
...半ば腐った千両箱――三四十もあろうと思うのが...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...五腐った半纏は捨ててしまいました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...尾張の大将か何んか腐った羊羹の一と竿も持って来て...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...腐ったわらをなかにいれたまま...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「断食芸人」
...腐った心になっとろうとは...
火野葦平 「花と龍」
...人の鼻の先きであの腐った匂いをいきなりはじめたんですからね誰にしたって腹も立ちますよそいで御院主さんは立ちあがって垣根から隣りの畑を見てござらしただけですよ!」「君のお父さんの形相があんまり凄いので内の母は...
三好十郎 「詩劇 水仙と木魚」
...おれはなんという腐ったやつだ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...あんな穢(けが)らわしい腐った空気の中にいてはこっちまで堕落してしまう...
山本周五郎 「陽気な客」
...口の中に腐った樟脳(しょうのう)のような臭気が致しまして……コンナ気持は生れて初めてで御座います...
夢野久作 「S岬西洋婦人絞殺事件」
...腐った西瓜でも喰らって...
吉川英治 「宮本武蔵」
...腐った血の色だった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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