...腐った下の帯に乳鑵二箇を負ひ三箇のバケツを片手に捧げ片手に牛を牽いている...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...お目に懸れるのは、骸骨に、腐った鉄材、それに深海魚ぐらいのところだろうよ」「いや、必ず持って来てやるよ、はははは」談笑が、煙草の煙とアルコールの強い匂いで飽和したサロンの空気をかきまわす...
海野十三 「地球発狂事件」
...この恐ろしい災害は腐った死体を投げ込んだ井戸の水を飲んだことによるとされた...
ジョン・スノウ John Snow 水上茂樹訳 「コレラの伝染様式について」
...顔は細長い茄子(なす)の腐ったような顔であった...
田中貢太郎 「疫病神」
...「ハ、ハイ」「何処(どこ)へ行かれる、――此処(ここ)は箱根の裏道、女人の身で押し通ると、磔刑柱を背負わされるが承知かな」五十日月代、腐った羽二重、朱鞘を落して、麻裏草履(ぞうり)を浅ましく突っかけた姿は、言う迄(まで)もなく浪人者赤崎才市(あかざきさいいち)です...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...「貴殿は?」「万田龍之助――不倶戴天の親の敵、覚えたか」「何? 貴公が万田龍之助」「いかにも」五十日月代、腐った羽二重、禿ちょろの朱鞘、長刀になった麻裏を突っかけた、三十五六の万田龍之助があって宜いものでしょうか...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...腐ったソフトを鷲掴みに...
野村胡堂 「踊る美人像」
...腐った流しの下へ匿(かく)したんだろう――」「親分は見ていなすったんで――」「見ていたわけじゃねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...腐ったロープのような...
葉山嘉樹 「労働者の居ない船」
...長々と横たわっている腐った木の幹があった...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...猛暑天気に腐った果実ってとこですよ」グレディ主筆がまたうなずいた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...泡を吹く夕方の沼の泥に赤く腐った生物の眼を見出したのは一度や二度でない...
松永延造 「職工と微笑」
...腐った玉子を使ってあったりして気味が悪いから僕の家ではなるべく手製の菓子ばかりをお客に出す...
村井弦斎 「食道楽」
...けれども腐った魚や貝類や...
山本周五郎 「さぶ」
...俺達(ヒト)の前で勝手な事をし腐ったのが癪に障るばっかりじゃ...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...死を宣告された腐った肺臓を持っていた...
横光利一 「花園の思想」
...腐った物から生じたのである...
吉川英治 「源頼朝」
...腐った無花果(いちじく)のような...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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