...疾駆われ見てありぬ四月の晨(あした)とある農家の厩口(うまやぐち)より曳出さるる三歳駒を馬のにほひは咽喉(のど)をくすぐり愛撫求むる繁き足蹈(あしぶみ)くうを打つ尾のみだれ美し若者は早鞍置かぬ背にそれよ玉揺(たまゆら)わが目の前を脾腹光りてつと駆去りぬ遠嘶(とほいなゝき)のふた声みこゑまだ伸びきらぬ穂麦の末にわれ見送りぬ四月の晨...
伊東静雄 「詩集夏花」
...脾腹をしたたか突かれて眼をまわしたので...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...脾腹(ひばら)をひき裂け!」彼はこの世の人とも思われぬ...
海野十三 「雷」
...小金吾そのかわりはてたすがたは――」「……」しかしことばもなく脾腹(ひばら)をおさえたまま...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...――正吉も脾腹の傷に耐えかねて...
山本周五郎 「お美津簪」
...脾腹の傷を覚られまいとする苦しさ...
山本周五郎 「お美津簪」
...其角の脾腹(ひばら)へぐいと差しつけられた...
山本周五郎 「其角と山賊と殿様」
...銀太はやがて脾腹(ひばら)が痛くなり...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...彼は脾腹(ひばら)を打たれたらしい...
山本周五郎 「風流太平記」
...一つは右の脾腹(ひばら)...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...牡鹿の横腹の脾腹のすぐ前のところから矢の羽根の部分がつき出ていた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...薊の匕首(あいくち)は彼の脾腹(ひばら)にふかく入った儘離れなかった...
吉川英治 「魚紋」
...わたくしも」脾腹(ひばら)へ突き立てようとした...
吉川英治 「剣の四君子」
...鋭利な刃で脾腹を刺され...
吉川英治 「私本太平記」
...その脾腹(ひばら)へうしろ抱きに脇差(わきざし)をつきたてていたのは...
吉川英治 「神州天馬侠」
...肉(にく)を!脾腹(ひばら)を!やわか! と必死(ひっし)な藤次...
吉川英治 「神州天馬侠」
...脾腹(ひばら)へはいった槍のケラ首をつかんで起とうとする――起たせまいとする――瞬間...
吉川英治 「新書太閤記」
...「くそッ」「ちいッ」三、四人、いちどに丹波の前後から組みついて、脾腹(ひばら)、首すじ、籠手(こて)、深股(ふかもも)、滅茶滅茶に突いたり、斬ったりしてしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
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