...あの年に似ず赤い脣でにやりと氣味惡く笑ひながら...
芥川龍之介 「地獄變」
...ほとんど同時に弟が脣を曲げるようにして...
梅崎春生 「魚の餌」
...その上には彼の脣から止めどもなく流れだす涎(よだれ)でもって...
海野十三 「十八時の音楽浴」
...女史は脣に指を押しあてて...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...彼はただ時々その脣(くちびる)が震えるのみであった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...墳墓の驚きに満ちたるその青ざめた脣(くちびる)の上と茫然(ぼうぜん)たる瞳のうちとに...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...最初の脣(くち)づけはまた最後のものであった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...酒のはいったコップを貪るように赤い脣で咥(くわ)えた様子を...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...八郎太の冷笑へ、四ツ本も、蒼白な顔の脣に、微笑をのせた...
直木三十五 「南国太平記」
...眼のつけどころが――脣の結びようが――深雪は...
直木三十五 「南国太平記」
...え? マリヤン!」「フン」と厚い脣の端を一寸ゆがめたきり...
中島敦 「環礁」
...脣(くちびる)を引きつらせてピクピクさせていた...
林芙美子 「清貧の書」
...ボオイの持つてきたらしい琥珀色のグラスを彼の脣に押しあてた...
堀辰雄 「恢復期」
...彼の小さな黒い口髭の端を自分の脣の間にはさんでは...
堀辰雄 「プルウスト雜記」
...「アルダナ」その言葉が脣を出るが早く...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...一列に並んだ娘達が桃色の脣を開いて歌つたことであらう...
森鴎外 「花子」
...哀れな年取つた脣の端で...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...頬麗(きょうれい)丹脣(たんしん)にして威(い)のあるようす...
吉川英治 「神州天馬侠」
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