...此人の鍛(う)つた包丁は刃が脆いといふ評判...
石川啄木 「赤痢」
...脆い糸から出来てゐる...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...すいた人の指にはめた脆い蛋白花(オパアル)...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...今は唯情(なさけ)に脆い風(かぜ)の出來心(できごゝろ)を...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...いかにも脆い姿になつてゐる...
鈴木三重吉 「金魚」
...自分自身による組織として見れば如何に脆いもので又如何に限度の狭いものであるかが...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...蝶の敏感な触角と脆い生活力...
豊島与志雄 「春」
...脆いのではない、この手でやられては、誰でも免(まぬが)れる由はあるまい...
中里介山 「大菩薩峠」
...……細工をしすぎたコップほど脆い...
久生十蘭 「金狼」
...吹く風に沙羅早く落つ久しくも我は冷たき世に住めるかな沙羅の花は脆いと聞くが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...例の涙脆い作者は何に感じてか船室で泣き出した...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...小さな、脆い器具類は、手にとり上げると、すぐ壞れるので、いそいで元の場所に置かれた...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から」
...正直だとか、内氣だとか、涙脆いとか、人がよすぎるとか、品行方正だとかいふのは、みんなの期待する事では無かつた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...極めて脆い体質をそなえていることなどと著しい対照をも示すわけだろう...
宮本百合子 「あられ笹」
...金色(きんしよく)をして、軟く脆い、出来立の菓子が皿に乗る...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...涙脆い同心が宰領して行くことになると...
森林太郎 「高瀬舟」
...町人の身代と言うものは脆いもので...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...王の栄華と耶蘇の比べた、百合はアネモネだと云ふ説のやうに、強烈な色に印度では咲く沙羅双樹か知らぬが、日本の山の白い沙羅は、あてに、いみじく、脆い花である...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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