...石は案外脆いもので寿命はかへつて紙墨にも及ばないから...
會津八一 「一片の石」
...脆くも亦いゝ子になりたいと云ふ希望を起した...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...沙彌がうたへる歌華籠(くゑご)に盛れる木蓮は香爐の灰の冷ゆるに脆く落ちて行春のながき愁(うれひ)を止めぬ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...鋭刄脆く先(さき)曲る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...彼は自己の脆弱を感じる...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...よくあの暮しに辛抱して世話女房をつとめ了(おお)せたものだ……情に強いようで実はきわめて脆(もろ)い女である...
中里介山 「大菩薩峠」
...女(をんな)に脆(もろ)い處(ところ)さへあるのであつた...
長塚節 「土」
...――でも少し脆過(もろす)ぎました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...……細工をしすぎたコップほど脆い...
久生十蘭 「金狼」
...あの脆(もろ)そうなからだを腕の中で押しつぶしてやるつもりだった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...斯の如き厳しい酒に対して斯んなにも脆弱である吾身が日増に重荷となつて来るのであつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...……しかしおれだってそう脆(もろ)くは...
山本周五郎 「百足ちがい」
...調子の低い而(さう)して脆相(もろさう)な程美しい言葉で愛想(あいそ)よく語つた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...不徳にして眞の背光がない脆さを感じるからであつて...
吉川英治 「折々の記」
...かくも脆弱(ぜいじゃく)なものか...
吉川英治 「新書太閤記」
...焼け脆(もろ)んだ人骨の一片で...
吉川英治 「新・水滸伝」
...じつに脆(もろ)い...
吉川英治 「随筆 新平家」
...つむじを曲げる」「情に脆(もろ)いからだ...
吉川英治 「松のや露八」
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