...家の案内は心得たれば背負うて遁げんに雑作は無しと幕を掲げて衝(つ)と出でたり...
泉鏡花 「活人形」
...酸素のタンクを背負うのですね」「まあ...
海野十三 「大宇宙遠征隊」
...二人の荷物を一人で背負うが如き思いで心私(ひそ)かに安からぬものがある...
大隈重信 「福沢先生の処世主義と我輩の処世主義」
...矢を入れて背負う...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...女の死骸を莚に入れて背負うて来た...
田中貢太郎 「山姑の怪」
...風ふく日の餅がふくれあがり・水田も春の目高なら泳いでゐる・眼は見えないでも孫とは遊べるおばあさんの日なた・もう春風の蛙がいつぴきとんできた・夕ざれはひそかに一人を寝せてをく・山から暮れておもたく背負うてもどる三月十日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...解くすべもない惑ひを背負うて...
種田山頭火 「草木塔」
...やつぱり背負うていたゞいてよかつた...
土田耕平 「峠」
...鹿の角を澤山背負うて來る男に會うた...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...母が、葱(ねぎ)と、大根との風呂敷包をもって、私が、弟を負うたり、その反対だったり――それから、それが、だんだん慣れてくると、私が一人で買出しに行ったり、弟を背負うて、母を連れずに行ったり――思春期前の少年だから、平気で「この頭おくれ」と、出汁にする鰻の頭を一皿買ったり、牛肉屋が顔馴染になったので「味噌まけといてや」と味噌を、余分に入れさせたり――そして、多分、私が弟を背負って、そうして、大抵毎日買って歩いているのが商人達に、記憶されたらしく、それから又、憐れまれたらしく――私等兄弟より外に十歳位で、そんな所へ、惣菜(そうざい)を買いに行く奴はいなかったらしく「まけといたるで」と、鰻屋が、八幡巻(やわたまき)を一本添えてくれた事があるし、牛肉屋が「葱もおまけや」と、添え物の葱を一つかみくれた事もあった...
直木三十五 「死までを語る」
...子供を背負うて夜中にああして歩いている...
中里介山 「大菩薩峠」
...木口が床柱を背負うと...
中里介山 「大菩薩峠」
...私に一番接近した十五六の女の子の背負うて居た乳飲児が其女の子の肩へ挂けて白く乳を吐いた...
長塚節 「隣室の客」
...しかし荷物を背負う用途を兼ねるものは...
柳宗悦 「蓑のこと」
...凡てを背負う決心をした...
柳宗悦 「民藝四十年」
...カルウは普通の辞典には見えぬが背負うという意味の中古の俗言である...
柳田國男 「地名の研究」
...千六は恥かしながら背負うて来た風呂敷包みの割籠(わりご)を開いて...
夢野久作 「名娼満月」
...自分の背丈の二倍もある高さの草束を背負う姿は青草の底から顔を出した家畜に似ている...
横光利一 「夜の靴」
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