...そこで後(うしろ)から背のびをして覗(のぞ)いて見ると...
芥川龍之介 「饒舌」
...なんだか背のびをしたように感じたからである...
海野十三 「金属人間」
...」明智は説明しながら、つかつかとその獅子の前に近づき、背のびをして、ひらいた口の中へ右手をさし入れました...
江戸川乱歩 「大金塊」
...背のびをしながら...
江戸川乱歩 「超人ニコラ」
...俺は慷堂を真似た背のびした口調で言った...
高見順 「いやな感じ」
...背のびをしました...
竹久夢二 「玩具の汽缶車」
...その光景を背のびして見ていながら...
太宰治 「狂言の神」
...背のびをして板木(ばんぎ)をたたいていた...
壺井栄 「二十四の瞳」
...すっと背のびをして...
豊島与志雄 「田舎者」
...ただ有明山のみが背のびをしているように見えます...
中里介山 「大菩薩峠」
...有らん限りの背のびをして...
中里介山 「大菩薩峠」
...百姓の娘にしてあれだからのう」「百姓の娘だけに、うぶなところと、親身のところが、親玉のお気に召したというのだなあ」「いいや、お蘭も、百姓の娘たあいうけど、てとりものじゃ、商売人にも負けねえということじゃて」「親玉をうまくまるめ込んでいることじゃろうがのう」「親玉ばかりじゃありゃせん、その道ではお蘭も、なかなかの好(す)き者(もの)でのう」「はあて」「お蘭もあれで、親玉に負けない好き者じゃでのう、お蘭の手にかかった男もたんとあるとやら、まあ、男たらしの淫婦じゃてのう」「親玉のお手がついてからでもか」「うむうむ、かえってそれをいいことにしてのう、今までのように土臭い若衆なんぞは、てんで相手にせず、中小姓(ちゅうこしょう)じゃの、用人じゃの、お出入りのさむらい衆じゃの、気のありそうなのは、まんべんなく手を出したり、足を出したりするそうじゃてのう」「はて、さて、そりゃまた一騒ぎあらんことかい」「どうれ」「どっこい」「もう一廻り、見て、お開きと致そうかいなあ」「そうじゃ、そうじゃ」「どうれ」「どっこい」こう言って、彼等は、煙草の吸殻を踏み消し、御用提灯を取り上げて、背のびをしたり、欠伸(あくび)をしたりしながら立ち上る...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが……オーイ オーイ寒冷な風の吹く荒神山の上で呼んでゐる波のやうに元気な叫喚に耳をそばだてよ!可哀想な女房や子供達があんなにも背のびして空高く空高く呼んでゐるではないか!遠い潮鳴りの音を聞いたか!波の怒号するを聞いたか!…………山の上の枯木の下に枯木と一緒に双手を振つてゐる女房子供の目の底には火の粉のやうにつゝ走つて行く赤い帆がいつまでも写つてゐたよ...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...僕も無理に背のびをしなくともいいだろう...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...ゆつくりと背のびしたやうな十二階の塔が...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...両腕を高く振りあげて大きな背のびを始めた...
矢田津世子 「罠を跳び越える女」
...伏見城から淀のほうへ背のびをしている雲の峰は...
吉川英治 「宮本武蔵」
...窓の外から背のびしながら見惚(みと)れていたものだった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
便利!手書き漢字入力検索