...背きがち、首(うな)だれがちに差向ったより炉の灰にうつくしい面影が立って、その淡(うす)い桔梗の無地の半襟、お納戸縦縞(たてじま)の袷(あわせ)の薄色なのに、黒繻珍(くろしゅちん)に朱、藍(あい)、群青(ぐんじょう)、白群(びゃくぐん)で、光琳(こうりん)模様に錦葉(もみじ)を織った...
泉鏡花 「薄紅梅」
...手古奈が心から君に背きしならねば...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...またわたくしの父大國主の命の言葉に背きますまい...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...せめて慰む術(すべ)もやと、歌に心をかへししも、背きし罪か、詩の神の助(たす)けありとも思はれね...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...夫神の命に背きて...
高木敏雄 「比較神話学」
...本家の厳しい云い付けに背き...
谷崎潤一郎 「細雪」
...』430 ヘーレーに養育の恩を負ひしテチスはヂュウスに背きしことあり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...「彼らあるいはまた背き去るといえども...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...以て其の政友を賣り以て其の糾合せる同志に背き...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...曾て侯に服從したるものまでも遽かに侯に背き去れるを見たりき...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...何となれば是れ侯が閣下等の異論を排して敢て大隈板垣兩伯を奏薦したる當初の意思に背きたればなり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...一意忠勤の精神に背きたくもなかったので...
豊島与志雄 「電車停留場」
...どうかしたはずみで神の掟に背き...
永井隆 「この子を残して」
...私は友に背き同志を売つた...
平出修 「計画」
...私はいつ貴方に背きました...
平出修 「計畫」
...ひたすら維持維持と言いて古制旧儀に背き...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...世を挙げて漢方に背き蘭方に向はしむるは危険だと思惟し...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...菩薩(ぼさつ)の行(ぎょう)に背きはしないか」...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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