...彼の An sich の自信は聊かも紊されるところがないのである...
阿部次郎 「帰来」
...從つて作家その人を聊かも内面的に啓發する力のない批評と雖も...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...彼は自分の人格が聊かも憤慨に價しないほど卑しいところも汚いところもない人格だと云へないことを悲しいと思つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...聊かも通じてゐるやうには見えなかつた...
有島武郎 「子供の世界」
...図柄の不鮮明などは聊かも問題でないばかりか...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...815されば進んで聊かも隱さず君に打明けむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...聊かも誤り述ぶること勿れ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...富子は聊かも取り乱したところを見せない代りに...
豊島与志雄 「自由人」
...彼女の態度には聊かも変りはなかったろう...
豊島与志雄 「秦の憂愁」
...聊かも持ちませんでしたけれど...
豊島与志雄 「旅だち」
...つまり、二人の間には、見解の相違とか意見の衝突とかは、聊かもないのだ...
豊島与志雄 「憑きもの」
...本質的な変化は聊かも見られないだろう...
豊島与志雄 「野に声なし」
...先刻のような感銘は聊かも得られなかった...
豊島与志雄 「復讐」
...それを私は聊かも憾みとはしない...
豊島与志雄 「理想の女」
...聊かも朝廷に対して異心あるのでなく...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...而してもしその動機が外面に表われない場合には聊かも殺人の疑いさえ起り得ない筈ではないか...
浜尾四郎 「彼は誰を殺したか」
...丁度近頃その遊び相手の猫がちょいちょい来るのを後家の猫とは聊かも知らず...
浜尾四郎 「殺された天一坊」
...千歳の松も限りあればや昔の縁乍(たちま)ち消えうせて木も枝もやけこがれさも物うげに立てるあはひに本堂のみ屹然として聊かも傷はざるは浪花堀江の御難をも逃れ給ひし御仏の力...
正岡子規 「かけはしの記」
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