...病聊(いささ)か快(こころよ)きを覚ゆ...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...沿岸通商で、彼等は海岸に沿うて二日か三日帆走し、聊かでも、風や暴風雨の徴候が見えると、港湾に入り込み、嵐の来ること、或は嵐の吹き去るのを待つ...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...聊か困難なるも仮に史伝の説に従うときは...
高木敏雄 「比較神話学」
...だがこゝにそんな事まで書くことは聊か余計な事ではないかとお思ひになる諸君がおありかもしれない...
高田保 「貸家を探す話」
...将軍家聊か御不例に依りて御出無し...
太宰治 「右大臣実朝」
...聊(いささ)か当てが外れるので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...功名聊(いささ)か復(ま)た私(ひそか)に期する有り...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...聊(いささ)かの暇(いとま)あればわが心付(こころづ)かざる中(うち)に机の塵(ちり)を払ひ硯(すずり)を清め筆を洗ひ...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...昔(むか)し獄に投ぜられた囚人の一人は無聊(ぶりょう)のあまり...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...未来を助かる道を得たれば憂うる心は聊(いささか)も無い...
野村胡堂 「十字架観音」
...デカメロンにも聊斎志異にも無いことですが...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...聊(いささ)かながら稿料も貰えたから...
二葉亭四迷 「平凡」
...「酒蟲」は材料を「聊齋志異」から取つたものである...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...それとてこうして陰惨な冬の日々にも堪えていなければならない山の生活の無聊(ぶりょう)に比べればどんなに報(むく)いの少ないものか...
堀辰雄 「菜穂子」
...それは此の惨めで汚い貧困に聊かでも敵対する心の贅沢である...
松永延造 「職工と微笑」
...あまりの無聊なために私は心がどろっとなってしまった...
水野葉舟 「遠野へ」
...今まであった儀式は聊(いささ)か衰えたようだが...
柳田国男 「海上の道」
...千年も二千年も一貫して聊(いささ)かも変っておらず...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
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