...階下(した)で老婢(ばあさん)が慈姑(くわい)を煮る香ばしい臭いをききながら...
近松秋江 「うつり香」
...三十男の遊び盛りを今が世の絶頂(つじ)と誰れが目にも思われる気楽そうな独身(ひとりみ)で老婢(ばあや)一人を使っての生活(くらし)むきはそれこそ紅葉山人(こうようさんじん)の小説の中にでもありそうな話で...
近松秋江 「うつり香」
...そして私のいる加藤の家を出る時はろくろく挨拶(あいさつ)もしなかったお宮が柳沢のところの老婢(ばあさん)に対(むか)ってぺったり座って何様のお嬢さんかというように行儀よく挨拶をしていた...
近松秋江 「うつり香」
...お秋の代りに物靜かな老婢が廊下を歩いて來て...
近松秋江 「箱根の山々」
...」さういつて訊くと、老婢は、「左樣でございますねえ...
近松秋江 「箱根の山々」
...彼女は郷里の父の家に前後十五年近く勤めた老婢(ろうひ)である...
寺田寅彦 「備忘録」
...老婢が出て来た...
豊島与志雄 「椎の木」
...七大罪を犯した者のように醜いとジャンナン家の老婢(ろうひ)が言っていたあの検事さんか...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...――オリヴィエは老婢がはいって来たので眼を覚(さ)ました...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...老婢がよく家庭の中を整えていてくれたので...
豊島与志雄 「父の形見」
...それにしても、中心からそれたつまらないことが、なんと鮮明に浮んできたことか、仔猫だとか、綾子と山吹だとか、老婢たちだとか、なおその他のいろんなものまで、湖面の鏡に映った...
豊島与志雄 「山吹の花」
...家には老婢(ろうひ)が一人遠く離れた勝手に寝ているばかりなので人気(ひとけ)のない家の内は古寺の如く障子襖(ふすま)や壁畳から湧(わ)く湿気が一際(ひときわ)鋭く鼻を撲(う)つ...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...長年使い馴(な)れた老婢がその頃西班牙風邪(スペインかぜ)とやら称(とな)えた感冒に罹(かか)って死んだ...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...われ大正当今の世における新しき婦人の為す所を見て翻(ひるがえ)つてわが老婢しんの生涯を思へば...
永井荷風 「礫川※[#「彳+淌のつくり」、第3水準1-84-33]※[#「彳+羊」、第3水準1-84-32]記」
...涙(なみだ)のほかに何(なん)の考(かんが)へもなくお民(たみ)と呼(よ)ぶ老婢(はしため)の袖(そで)にすがつて...
樋口一葉 「經つくゑ」
...彼女は目の前に老婢の姿を見出した...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...老婢(ろうひ)一人を使うことにした...
森鴎外 「魚玄機」
...九年の初春に、まだ陳が帰らぬうちに、老婢が死んだ...
森鴎外 「魚玄機」
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