...さうして拔いて窓の光に翳した時は二寸ばかりの硝子の管が黄色になつてゐた...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...彼は手にしていた脇差(わきざし)を行燈の燈(ひ)へ翳(かざ)して見た...
田中貢太郎 「水面に浮んだ女」
...恰度(ちょうど)あの萩の花を少女が髪の上に翳して見せたときのやうに...
津村信夫 「挿頭花」
...真向上段に振翳された融の恋愛問題と芸術生活についての最近の非社的大論文が...
徳田秋聲 「歯痛」
...外を見ると明るい空は青く澄んで一片の雲翳もない...
長塚節 「佐渡が島」
...おつぎは「おゝ冷(つめ)てえ」といひながら竈(かまど)の口(くち)から捲(まく)れて出(で)る(ほのほ)へ手(て)を翳(かざ)して「今朝(けさ)は芋(いも)の水(みづ)氷(こほ)つたんだよ」とお袋(ふくろ)の方(はう)を向(む)いていつた...
長塚節 「土」
...焚火に手を翳しながら哀れな顔をして周囲の人だかりを見まはして居る...
長塚節 「隣室の客」
...火鉢(ひばち)に手を翳して...
夏目漱石 「永日小品」
...「死ぬところじゃ」とウィリアムが高く盾を翳す...
夏目漱石 「幻影の盾」
...中(なか)へ洋燈(らんぷ)の灯(ひ)を翳(かざ)した...
夏目漱石 「門」
...御用の提灯(ちょうちん)を振り翳(かざ)して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...平次の心が翳(かげ)ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...なに気ない風ですこしずつ翳(かげ)がさしかけてきた...
久生十蘭 「金狼」
...ほつれた髪が額に寂しい翳をつくっていた...
矢田津世子 「女心拾遺」
...松明を翳して行く...
山中貞雄 「武蔵旅日記」
...かっぷくのいい堂々たる男の上に翳(さ)しかけて行く...
吉川英治 「新・水滸伝」
...不安な眉の翳りを見せながら...
吉川英治 「平の将門」
...手を翳(かざ)して見ていると...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??