...他より見ればをかしく見ゆべし」とあるは毎月書肆(しょし)から若干ずつ資給されていた義理合上余儀なくされて渋りがちなる筆を呵(か)しつつ拠(よんどこ)ろなしに机に向っていた消息を洩らしたのであろう...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...恐らく書肆に対する義理合上拠ろなしに自分でも満足しない未成の原稿をイヤイヤながら引渡したに違いないのは前後の事情から明瞭に推断される...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...運んでやる義理合いはなかったんだ...
梅崎春生 「蜆」
...私達は大抵柄(がら)の小さいカナリヤに味方をしなければならぬ義理合(ぎりあひ)になつてゐる...
薄田泣菫 「茶話」
...それも先生の手許が有福であるわけでは無く色々工面をして融通をして貰つた金で是非今日中に返金せねはならぬ義理合になつてゐる...
高濱虚子 「俳諧師」
...或は筑摩家の恩に背(そむ)いても彼女のために盡すべき義理合いがあるとか...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...例えば有為の青年を金や権勢や義理合やでとって抑えて本人のあまり気のすすまぬ金持の養子にしたり...
寺田寅彦 「マルコポロから」
...何もそんなにびっくりする義理合もなさそうなものを...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...故人梶秀吉との義理合いもあって...
豊島与志雄 「高尾ざんげ」
...米友が面を出さねばならぬほどの義理合いのあるところは一軒もないのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...南条から頼まれた義理合いずくの交換条件を思い起しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...人の急を救うために危うきを冒(おか)さねばならぬ義理合いがあるというわけでもなく...
中里介山 「大菩薩峠」
...それで三沢の父が仲人(なこうど)という義理合から当分この娘さんを預かる事になった...
夏目漱石 「行人」
...おかくへの義理合ひのために直ぐにも音取家へこのまゝ進呈して...
牧野信一 「月あかり」
...世間へ向つての義理合上から私達の面目が……」「混血児の妹がやつて来たなんてことは...
牧野信一 「南風譜」
...日幡への義理合(ぎりあい)があっては正直を語れまい...
吉川英治 「新書太閤記」
...お家様の義理合いでやむなく一時の匿(かく)れ家(が)を...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...飛んで出て来なけれやあならない義理合いがあるんだから』『……でも...
吉川英治 「山浦清麿」
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