...婆やが行つて了へば今度はおくみをしんみのやうにたよつて附き纏うてゐられるのが...
鈴木三重吉 「桑の実」
...いつも垢染んだ襤褸(ぼろ)つ片(きれ)を身に纏うてゐた彼のみじめな姿が想ひ浮ばれるやうだ...
薄田泣菫 「独楽園」
...「一人の邪魔者の常に我身に附き纏うあり...
太宰治 「正義と微笑」
...老人の方は素肌にこの外衣を纏うているらしく...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...今日からはどんなに煩耨(しつこ)く纏うて来るだろうと云う恐れが...
田中貢太郎 「宇賀長者物語」
...僧侶が纏う金襴の袈裟(けさ)などは...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...能に附き纏うそう云う暗さと...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...その生々しい血のしたたる生皮を一人の男――これには少しばかり頭の鈍い男が選ばれる――が身に纏うて...
知里真志保 「アイヌ宗教成立の史的背景」
...美しい五彩の簑を纏うた虫の心象(イメージ)だけは今も頭の中に呼び出す事が出来る...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...絶頂まで樹木を纏うて...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...人の身に纏うものは...
外村繁 「落日の光景」
...女の方でも必ずしも附纏う気はないのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...今ある通りのものは可能の中での最も醜悪なものではないのか? そうした気持が絶えず中学生の彼につき纏うのであった...
中島敦 「狼疾記」
...海保はうるさく付き纏う情婦の百合江(ゆりえ)を殺してしまった...
松本泰 「宝石の序曲」
...己(おの)が好む花の色したよい加減な作り物に付き纏う事あり...
南方熊楠 「十二支考」
...洋装を纏うことを正しいといわなければならないでしょう...
柳宗悦 「民藝四十年」
...とりわけて身を責められました貴方様の御親切の程……それは私の肉体と心につき纏うております世にも恐ろしい...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...それはぼろぼろとした緑青色の苔を纏うた何やらの樹の幹であるのだ...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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