...悲しく纏うてゐるのでなければならぬ...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...いつも垢染んだ襤褸(ぼろ)つ片(きれ)を身に纏うてゐた彼のみじめな姿が想ひ浮ばれるやうだ...
薄田泣菫 「独楽園」
...老人の方は素肌にこの外衣を纏うているらしく...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...僧侶が纏う金襴の袈裟(けさ)などは...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...その衣を我が身に纏うて...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...それは丁度二時頃の日盛りで強い日光に照りつけられてゐる其等の山巒には多量の雨氣を含んだ薄墨色の水蒸氣が纏うて眼を威脅するやうに險しい表情をしてゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...習慣の人心を纏(まと)うは綿衣の身を纏うよりもはなはだし...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...はそう簡単に対立させられないという点が吾々の話を初めからお終いまでつき纏うのである...
戸坂潤 「文芸評論の方法について」
...その他では医者が常に絹布を纏うことを許されていた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...女の方でも必ずしも附纏う気はないのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...手早くそれを身に纏うた...
牧野信一 「父を売る子」
...一面に枯芝を纏うたほのかな起伏が...
水野仙子 「犬の威嚴」
...早くも五月蠅(うるさ)く付き纏う暗殺者の眼を逃れつつ...
夢野久作 「暗黒公使」
...素肌に纏うた呉一郎が...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...背中をこっちに向けている……髪毛(かみのけ)を蓬々(ぼうぼう)とさした……色の白い……頬ぺたの赤い……黒い着物をダラシなく纏うた青年の姿……...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...白衣を纏うて寝台の上に横たわったのを...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...淵の上にはこの数日見馴れて来た嶮崖が散り残りの紅葉を纏うて聳えて居る...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...それはぼろぼろとした緑青色の苔を纏うた何やらの樹の幹であるのだ...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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