...裏山に繁る杉の古木に囲まれて...
犬田卯 「荒蕪地」
...その鋭い光を横ざまに暗い繁樹(しげき)の間から投げる博物館の構内――牧草の生ひ繁るなかの小徑を...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...そして生ひ繁る牧草の間から...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...葉の繁るころ、この路はうすぐらく、地下道のやうである...
太宰治 「逆行」
...300此事われ人、胸中に皆悉く銘じ知る、死の運命を免れし諸卿はた又證者たり、事たゞ昨日(きのふ)と見るばかり、アカイア水師*アウリスに集り、害をイリオンとプリアモスとに謀る時、泉のほとり神聖の壇を設けて列神に 305いみじき犧牲たてまつり、清冽の水迸るかたへ葉廣きプラタンの樹の下、衆の立てる時、大なる奇蹟現はれき、*オリュンピオスの遣はせる、背は血紅の恐るべき*蛇現はれて聖壇の下より這ひ出、プラタンの梢めがけて這ひ上る、 310その最上の枝のうへ、廣き緑葉繁る蔭、まだ聲立たぬ可憐なる子雀八羽潜み居つ、これらを産める母鳥と合はせて九羽を數ふるを木昇る惡蛇進み寄り、悲鳴の子らを呑みさりぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...譬へば山の頂に繁る叢林奧深く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...其樅繁る枝のあひ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...270譬へば角の逞(たくま)しき鹿を或は山羊(やぎ)を追ひ、獵犬の群、獵人の群、一齊に進む時、峨々たる巖、繁る森、牲を救ひて隱れしめ、之を探りて見出すこと遂に彼等の運ならず、囂々として叫びあふ、其眼前に金毛の 275獅子現はれて、勇みたる一群攘ひ退(の)くるごと、アカイア軍勢一團となりて利劍を、兩刄(もろは)ある槍を揮ひつ敵軍を追ひつつ進む眼前に、プリアミデース・ヘクトール其陣中にあるを見つ、恐怖に滿ちて脚の下勇氣全く沈みさる...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...森繁る*テーベー城に...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...一面にまといついて繁るぶどう...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...閑地(あきち)に繁る雑草...
永井荷風 「日和下駄」
...小さな葉が繁ると...
中村地平 「南方郵信」
...ジキタリス――幾百千種とも數知れぬ藥草の繁る中を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...裏の板塀の外に天を摩(ま)して繁る五六本の杉の樹の梢(こずゑ)を指しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
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広海大治 「サガレンの浮浪者」
...お成座敷の古い茅屋根の軒下に繁る秋草などを眺めると...
宮本百合子 「九月の或る日」
...四囲に苔(こけ)むして草が繁る...
柳宗悦 「北九州の窯」
...まわりの広場は雑草の繁るにまかせてあって...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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