...一人は濃い縹(はなだ)の狩衣(かりぎぬ)に同じ色の袴をして...
芥川龍之介 「芋粥」
...「別れの時」の悲哀と憂愁と温柔と縹緲とに對する微細なる感覺を持つてゐたに違ひない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...三重の塔、連なれる老杉と高さを競ひ、畫橋縹渺、朱欄水に映じ、祠宇宏壯、丹碧燦然として、峭壁の間に光彩を放つ...
大町桂月 「冬の榛名山」
...女の体に塗つた香料は男の魂を縹渺の界へ連れて行つた...
田中貢太郎 「蟇の血」
...私の前に立っているのは世間並みの恐らくは不縹緻で粗野な女なのだが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...縹(はなだ)いろの冷漿を浴びたごとくに陰り...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...するとそのうちの一人が細長い天秤棒(てんびんぼう)のようなものをぐるりぐるりと廻し始めた……」「何だか水滸伝(すいこでん)のような趣(おもむき)じゃありませんか」「その時からしてがすでに縹緲(ひょうびょう)たるものさ...
夏目漱石 「行人」
...大変に良い縹緻(きりょう)だったが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...然らざる読者層の為には晶子歌の完成した縹渺たる趣きを早く知つて貰ひたく晩年の作から逆に交互に拾つて行くことにする...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...縹緻(きりやう)自慢だつたが(彼女は鏡を見る度に...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...泣く泣く仰いだときと同じ縹いろの秋の夕空その空のいろに変りはないが...
正岡容 「小説 圓朝」
...けれども縹緻はよかつた...
水野仙子 「散歩」
...縹緻(きりょう)もちょっとずばぬけているが...
山本周五郎 「落葉の隣り」
...縹緻(きりょう)よしだわ...
山本周五郎 「契りきぬ」
...縹緻(きりょう)も悪くはないのだが...
山本周五郎 「日本婦道記」
...あの縹緻(きりょう)で」「だが...
吉川英治 「江戸三国志」
...役者でないお粂の縹緻(きりょう)に目をつけて...
吉川英治 「江戸三国志」
...お嬢様のようなご縹緻(きりょう)よしに思われて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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