...昭和十四年七月號中央公論掲載の、「縷紅新草」は、先生の生前發表せられし最後のものにして、その完成に盡されし努力は既に疾を内に潜めゐたる先生の肉體をいたむる事深く、其後再び机に對はれしこと無かりしといふ...
泉鏡花 「遺稿」
...縷々(るる)と陳述(ちんじゅつ)した...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...一縷(いちる)の望みに...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...後々(のち/\)次第(しだい)に工(たくみ)を添(そへ)て糸に縷(より)をつよくかけて汗(あせ)を凌(しの)ぐ為(ため)に(しゞま)せ織(おり)たるならん...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...只簾を漏れて心細くも立迷ふ香煙一縷...
高山樗牛 「瀧口入道」
...それですら都鄙の間に通う血の一縷(いちる)となったと思えば...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...此處へ親分の錢形平次が來さへすれば――と言つた一縷(る)の望みに燃えて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紙縷(こより)は婆々縷(ばゝより)...
樋口一葉 「たけくらべ」
...そしてこの慘(みじ)めな侘びしい氣持では――一縷(る)の望みもなくなつたこの空しさでは...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...医者は一縷(いちる)の望みに期待するのみと表明...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...救ひを求める凄惨な声が益々高く低く縷々として私の耳朶に絡まりついて来る空怖ろしさに堪へられなくなつて...
牧野信一 「鬼の門」
...それは今日の吾々としては詳細に縷説(るせつ)する必要がないほど生々しい事実である...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...たとえ一縷(いちる)の望みでもある以上は...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...そんな世話を続行するのは日本亡国の原因を作るようなものだとつくづくこの頃思い当ったせいでもあるんだがね」こうして縷述(るじゅつ)して来ると彼の法螺の底力は殆んど底止(ていし)するところを知らない...
夢野久作 「近世快人伝」
...彼の大それた逆心がこの日から胸に醸(かも)されたものだということができる)とも縷々詳説(るるしょうせつ)している...
吉川英治 「新書太閤記」
...縷々(るる)と、香炉からのぼる香煙をながめては、(右府の死を一期(いちご)として、世の中はこれで大きくひとつまわった)と考える...
吉川英治 「新書太閤記」
...文八は縷々(るる)いいわけをいいはじめたが...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...それのみが一縷(る)の望みであった...
吉川英治 「源頼朝」
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