...この混沌たる暗黒時代に一縷の光明を与ふるものは僕等の先達並びに民間の学者の纔(わづ)かに燈心を加へ来れる二千年来の常夜燈あるのみ...
芥川龍之介 「文部省の仮名遣改定案について」
...それで医者ならば生き返らせることができるかとの一縷(いちる)の望みをかけて...
伊藤左千夫 「奈々子」
...鴎外が抽斎や蘭軒(らんけん)等の事跡を考証したのはこれらの古書校勘家と一縷(いちる)の相通ずる共通の趣味があったからだろう...
内田魯庵 「鴎外博士の追憶」
...縷々(るる)と陳述(ちんじゅつ)した...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...久野村の稲村与市が涙をもって縷々訴えて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...正造はそうした鋭い舌端で縷々一時間余にわたって追求したが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...れいの該博(がいはく)の知識の十分の七くらいを縷々(るる)と私に陳述して...
太宰治 「佳日」
...何となくこの店に一縷(いちる)の明るい光がさすように思うた...
寺田寅彦 「やもり物語」
...縷々数千言を費やし...
登張竹風 「美的生活論とニイチエ」
...互に融和すべき一縷(る)の糸の繋(つな)がれていることである...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...もしくは自己の狭隘(きょうあい)なる経験より出でたる一縷(いちる)の細長き趣味中に含まるるもののみを見て真の文学だ...
夏目漱石 「作物の批評」
...彼らに一縷(いちる)の光明を授けんこと...
福田英子 「妾の半生涯」
...一昨日(おととい)教師を番町に訪うて身の振方を依頼して来た趣を縷々(るる)咄(はな)し出したが...
二葉亭四迷 「浮雲」
...それに一縷の光明を求めて元気を出して焚火を始めた...
松濤明 「春の遠山入り」
...繿縷布片(ぼろきれ)の腰巻が脱け落ちそうになったまま叫び続けた...
夢野久作 「笑う唖女」
...大自然が縷彫したこの巨きな藝術はその存在そのものまでが直ちに理想である...
吉江喬松 「山岳美觀」
...縷々(るる)陳弁(ちんべん)をつくしているにもかかわらず...
吉川英治 「江戸三国志」
...ある!」沢庵は一縷(いちる)の望(のぞ)みへ情熱をこめて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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