...練塀小路(ねりべいこうじ)に匿(かく)れのねえ...
辰野九紫 「青バスの女」
...唐門からぐるりと練塀をめぐらして...
豊島与志雄 「オランウータン」
...練塀小路(ねりべいこうじ)あたりで按摩(あんま)の笛...
中里介山 「大菩薩峠」
...こっちが厚い練塀(ねりべい)らしいから風の音がそんなに聞えないけれど...
夏目漱石 「行人」
...去年の春麻布(あざぶ)のさる町を通行したら高い練塀(ねりべい)のある広い屋敷の内で何か多人数打ち寄って遊んででもいるのか面白そうに笑う声が聞えた...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...練塀町から金澤町まで跟(つ)けて行き...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今まであっしなんかには、鼻も引っかけないような、素気(そっけ)ない顔をして居たあの娘が、急にチヤホヤして、――お茶が入ったからちょいといらっしゃい――とか――良いお菓子がある――とか、いろ/\のことを言って、あっしを自分の部屋に誘い、結構なお茶やお菓子を御馳走した上、此節は物騒で叶わないから、戸締りを見てくれとか、格子の具合を調べてくれとか、いやもう、大変な持てようでしたよ」「で?」「きりょう自慢の女に逢ったら、その顔を見てやらないに限ると思いましたよ、時々つまらなそうな顔をしたり、胸が悪そうにして唾を吐くのは、なか/\きき目がありますね」「で、何んか気の付いたことがあるのか」「ありますよ――あの娘の顔ばかり見て居ちゃ気が付きませんが――あの手の美しいということは」「――」「細くてしなやかで、指が一本一本笑(え)くぼが寄って、爪が桜貝のようだ」「馬鹿野郎――水仕事一つしないような、怠け者の手なんか見て感服したって、何んの足しになるんだ」「でも、若い娘の手が、あんなのは悪くありませんね――もっとも、左の手に少し怪我をして居る様で、手の甲から手首にかけて、膏薬(こうやく)を貼っていましたが」「お前の調べは、相変らず、あの娘のことばかりじゃないか、三輪の親分に鼻を明かされるのも、無理はないぜ」「まだ沢山調べて来ましたよ」「詳しく話してみな」「恋患いの第一番、練塀小路の油屋、和泉屋の倅(せがれ)嘉三郎は、思い焦れて、枕もあがらないと言われて居ますが、骨と皮ばかりになって居ても、夜中に一度は外へ出て、フラ/\と金沢町まで歩いて行き、江島屋の塀の外から、お艶の部屋のあたりを見上げて、大きな溜息を三つばかりして、又とぼ/\と帰るそうですよ」八五郎の話は奇っ怪でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...練塀町から金沢町まで跟(つ)けて行き...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夫れから同行の原田は下谷(したや)練塀小路(ねりべいこうじ)の大医(たいい)大槻俊斎(おおつきしゅんさい)先生の処へ入込(いりこん)だ...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...私は下谷練塀小路河内山宗俊屋敷に誕生した故であらう...
正岡容 「下谷練塀小路」
...下谷練塀小路への回想は全くのところ瞼に蘇る何一つとてない...
正岡容 「下谷練塀小路」
...次郎吉は練塀小路(ねりべいこうじ)の肴屋魚鉄へ奉公にやられた...
正岡容 「小説 圓朝」
...練塀小路(ねりべいこうじ)の伝経廬は旧に依(よ)って繁栄した...
森鴎外 「渋江抽斎」
...練塀小路(ねりべいこうじ)の湿地にあった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...下谷練塀町の小学校に通って...
柳田国男 「故郷七十年」
...どうするんだ」彼は練塀(ねりべい)の木戸門をぬけ...
山本周五郎 「末っ子」
...練塀を連ねた静かな小路に瓦がしっとり重く湿って見えるころだった...
横光利一 「旅愁」
...――これでもう練塀町の不伝の家にも帰れないと思い...
吉川英治 「大岡越前」
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