...自分にあてがわれたきらびやかな縮緬(ちりめん)の座ぶとんを移して...
有島武郎 「或る女」
...大形の染の浴衣に水色縮緬をグル/\卷いた加藤を初め...
石川啄木 「鳥影」
...赤い唐縮緬(とうちりめん)を着た姐さんでも...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...新裁下(したておろ)しのセルの単衣(ひとえ)に大巾縮緬(おおはばちりめん)の兵児帯(へこおび)をグルグル巻きつけたこの頃のYの服装は玄関番の書生としては分に過ぎていた...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...『釈日本紀』に曰く、常陸国風土記曰、夫常陸国者、堺是広大、地亦緬、土壌沃墳、原野肥衍、墾発之処、山海之利、人々自得、家々足饒、設有二身労耕耘、力竭紡蚕者一、立可レ取レ富豊一、自然応レ免二貧窮一、況復求レ塩魚味一、左山右レ海植レ桑種レ麻、後レ野前レ原、所謂水陸之府蔵、物産之膏腴、古人云レ、常世之国一、蓋疑此地、今浦島説話とタンホイゼル説話とを比較するに、楽土の淹留と云う点に於て、楽土の神女が、淹留者に懸想して、彼を迎えしと云う点に於て、数年間留まりしと云う点に於て、及び後に至りて往事を回想して、故郷を懐うの情起りしと云う点に於て、両個の説話は全く一致す...
高木敏雄 「比較神話学」
...それもやっぱり正岡先生の方はおめし物から帽子まで覚えていますのに(うす色のネルに白縮緬(ちりめん)のへこ帯...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...唐縮緬(とうちりめん)の三(み)つ身(み)の袖には咲き乱れた春の花車が染め出されている...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...武男は無造作に白縮緬(しろちりめん)の兵児帯(へこおび)尻高(しりだか)に引き結び...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...薄色の絽縮緬の半襟から覗いたその頸筋には...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...衣桁にかけた小紋縮緬の一重ねを...
中里介山 「大菩薩峠」
...白縮緬(しろちりめん)の襟(えり)のかかった襦袢(じゅばん)の上へ薩摩絣(さつまがすり)を着て...
夏目漱石 「明暗」
...まぎれもない上質の白縮緬で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...やゝ縮緬皺(ちりめんじわ)の目につく年輩ですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...羽織には宜(い)い縮緬(ちりめん)の売物があるが買いなさらんか...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...あの素晴らしい縮緬浴衣...
正岡容 「小説 圓朝」
...紫縮緬に大いなる鴉(からす)数羽飛びちがひたる模様ある綿入に...
三木竹二 「両座の「山門」評」
...緋縮緬のさがりを見せての見えは...
三木竹二 「両座の「山門」評」
...ああ何たる怪だろう!小豆縮緬(あずきちりめん)の頭巾に深く顔をかくした白い眼元が...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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