...が、日の短い頃であるから、五時そこそこというのにもうとっぷりと日が暮れて、間は稲荷山(いなりやま)ただ一丁場(ひとちょうば)だけれども、線路が上りで、進行が緩い処へ、乗客が急に少く、二人三人と数えるばかり、大(おおき)な木の葉がぱらりと落ちたようであるから、掻合(かきあ)わす外套(がいとう)の袖(そで)も、妙にばさばさと音がする...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...緩いのも、急なのもあるが、とにかく疲勞を知らぬ一大運動があつて、兩端の終(つひ)に合する事の無い組踊の中に萬物を引込むのである...
レミ・ドゥ・グルモン Remy de Gourmont 上田敏訳 「落葉」
...浜から洞穴の入口までは緩い傾斜をなして上っていた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...丁度蘆の湖の東岸に沿うて長く裾を曳いてゐるその傾斜が今歩いてゐる往還のところまで緩い傾斜の一線を引いてゐる...
近松秋江 「箱根の山々」
...遠くで緩い伴奏を続けてゐた...
徳田秋聲 「芭蕉と歯朶」
...一方はローンの緩いカーブに開けて居りますが...
野村胡堂 「死の予告」
...死にはしない」こんな緩い繩...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...車のバネの緩い動揺や...
原民喜 「雲雀病院」
...爪先上りの緩い傾斜を作つて山は南の方へ延びて居る...
平出修 「計畫」
...緩い勾配をもって起伏する野面の所どころに...
牧逸馬 「双面獣」
...窓の下は緩い流れであるが...
牧野信一 「剥製」
...緩い流れだと見て...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...大きい緩い水の流れが...
水野葉舟 「遠野へ」
...自然がつく緩い深い吐息を聞いた...
水野葉舟 「遠野へ」
...右には緩い傾斜の段丘平野がひらけて見えた...
山本周五郎 「はたし状」
...一町四方の緩い傾斜を見せた正方形で...
横光利一 「旅愁」
...緩いうねりを立てて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...波は大きな緩いうねりを立ててゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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