...おもりの小石と共にしまの木綿(もめん)風呂敷に包んだ生々しき人間の片足が現れ大騒ぎとなった...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ...
太宰治 「走れメロス」
...空中にふわふわしている綿毛も同然さ...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...ひなは七月に行った時はまだ黄色い綿で作ったおもちゃのような格好で...
寺田寅彦 「あひると猿」
...綿のふかふかする友禅メリンスの丹前を着て机の前に坐っていたが...
徳田秋声 「仮装人物」
...毛繻子(けじゅす)の襟(えり)がかゝった滝縞(たきじま)の綿入(わたいれ)なぞ着て居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...手当てのためと言って綿撒糸(めんざんし)の大きな包みを置いていった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...木綿麻の随分古ぼけた夏物が二枚壁際に投出されているばかりである...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...小坊主(こばうず)は直(すぐ)に棺桶(くわんをけ)の葢(ふた)をとつて白(しろ)い木綿(もめん)を捲(ま)くつて窶(やつ)れた頬(ほゝ)へ剃刀(かみそり)を一寸(ちよつと)當(あ)てた...
長塚節 「土」
...毟(むし)り取られたまま白い綿を見せているではありませんか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ケクワのプラウは、二十人から三十人も乗る戦争の丸木舟ばかりですので、腕三つ分、約五メートルの舟と、檣を一本こしらえてもらうようにたのみ、斧一梃、赤木綿二反、カナカナ煙草五束、新聞紙六枚の値段にきめました...
久生十蘭 「手紙」
...ガラス窓には木綿の覆いが掛けてある...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...木綿よりアセモをなくします...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...木綿のわたのふとんを着せてあげようとおかみさんは大わらわよ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...河北省の石家荘附近は、綿の産地であり、手織綿布に見るべきものがありますが、近時石門駐在の特務機関が、進んでこの地方の織物の発展に意を注ぎ、既に見るべき成績を挙げているのは、北支の民藝のため慶賀に堪えない次第であります...
柳宗悦 「北支の民藝(放送講演)」
...木綿以前にもなれないことはよく判(わか)っている...
柳田国男 「木綿以前の事」
...このポケットは木綿の手織縞(ておりじま)だ...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...綿屋の横の蔵の下に...
吉川英治 「宮本武蔵」
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