...そしてしばらくは葉子の絶望的な泣き声ばかりが部屋(へや)の中の静かさをかき乱して響いていた...
有島武郎 「或る女」
...「だめです」といかにも絶望的な調子でいったが...
有島武郎 「或る女」
...そして遂に終りの時がくると絶望的な深い寂しさを感じた...
伊丹万作 「私の活動写真傍観史」
...絶望的なにおいを放っていた...
梅崎春生 「幻化」
...絶望的な軍議が開かれ...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...というのはその男がわしらに入用の男だからです」グリーンウッドは絶望的な身振りをした...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...にぎやかな中に暗い絶望的な悲しみを含んだものである...
寺田寅彦 「柿の種」
...臨終の床に横たわりながら、またしても、根こそぎありったけのことを思い出すが、今度は長年の間につもりつもった利息までが、おまけにくっついているのだ、そして……けれども、つまりこの冷ややかな、いまわしい、半ば絶望的な、半ば希望を蔵しているような状態の中に、――自棄半分に四十年間も意識的に自分を床下に生埋めにしたという事実の中に、――強いて造り出してはみたものの、多少怪しいところのあるこうした救いのない境遇の中に、内訌してしまった満たされざる欲望の毒素の中に、躊躇ののちに永久変わらぬ決心を取ったと思う間もなく、すぐ次の瞬間に湧き起こる悔恨の中に、――こうした熱にでも浮かされたような混沌のなかに、さっきわたしのいった不思議な快感の真諦が蔵されているのである...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...ワイグルは絶望的な身振りをし...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...平野はなぜああいう絶望的な行為をしたのか...
豊島与志雄 「常識」
...自己及び自己の世界の下らなさ・狹さを知悉してゐる絶望的な金魚...
中島敦 「かめれおん日記」
...之は絶望的な不安だ...
中島敦 「光と風と夢」
...死に対して抱く絶望的な哀傷を以て――低く眩いた...
中島敦 「光と風と夢」
...照国の誠一はその絶望的な状況のうちから...
野村胡堂 「九つの鍵」
...五年間自分を尋ねてくれたと言う純情的な武士の名が絶望的なお鳥の唇へ...
野村胡堂 「裸身の女仙」
...絶望的な表情を浮かべた...
火野葦平 「花と龍」
...私が口にしたやうなあんな絶望的な死の苦しみの祈りを天に訴へないように! 決してあなたは...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...絶望的な大きな息が...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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