...――氷月の雪の枝折戸(しおりど)を、片手ざしの渋蛇目傘(しぶじゃのめ)で、衝(つ)いて入るように褄(つま)を上げた雨衣(あまぐ)の裾の板じめだか、鹿子絞りだか、あの緋色がよ、またただ美しさじゃない、清さ、と云ったら...
泉鏡花 「薄紅梅」
...瀧口はしばし無念の涙を絞りしが...
高山樗牛 「瀧口入道」
...毎夜舞臺の上で一滴の生命の血を絞り/\してる樣な技藝に對する執着の疲れが...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...「愉快! 定遠が焼けるぞ!」かれたる声ふり絞りて分隊長は叫びぬ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...絞り首にしてやっても...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...金持を欺(だま)して絞り上げたその金で...
中里介山 「大菩薩峠」
...元来泣き上戸の雪山は覚えず袖を絞りました...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...巽九八郎は少し気違い染みた大声をふり絞ります...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...最後の絞りに近づいたような気がしたのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...八五郎もなか/\うまい智惠を絞ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...誰方(どなた)も佳い年をお取り下さいやし」その羽子板ギューッと豆絞りの手拭で額のまん中へ結びつけて...
正岡容 「小説 圓朝」
...酢を沸立てて塩を加えてその中で鰯を炒(い)り付けるように煮て生姜(しょうが)の絞り汁で出してもようございます...
村井弦斎 「食道楽」
...○茶巾絞りの上に碾茶(ひきちゃ)を交ぜたる芋を引筒にて押出しかけると体裁よき菓子となる...
村井弦斎 「食道楽」
...そこへおっ母さんがお絞りを持って上ってきた...
矢田津世子 「神楽坂」
...どこからそんな知恵を絞り出したもんか...
山本周五郎 「青べか物語」
...「おとよってえあまはとんでもねえ男たらしだって思った」と万吉は云った、「ところがふしぎなことにそうでもねえんだな、誰に対しても情が厚くって、不実なことは決してしていねえんだ、こぶは油絞りで、この寄場ではいちばん稼ぎが多い、だから金や物をせっせとくれてやるらしいが、それだからどうってこたあねえ、びた銭一枚やらねえ者と、ちっとも扱いが変らねえっていうこった」いまのところいちばんのぼせているのは松造で、彼はもういつでもしゃばへ出られるため、そのときはおとよを妻として迎えたいと、しんけんに思い詰めている...
山本周五郎 「さぶ」
...油絞りのこぶが暴れだして大騒ぎになった...
山本周五郎 「さぶ」
...この頃はスッカリ窶(やつ)れてしまった……というような話で……つまり愛子は生れてから死ぬまで絞り取られるように出来ていた女なんだね...
夢野久作 「近眼芸妓と迷宮事件」
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