...その向側の操人形座(あやつりにんぎょうざ)は結城座(ゆうきざ)薩摩座(さつまざ)の二軒ともに早やその木戸口に彩色の絵具さえ生々しい看板と当(あたる)八月(はちがつ)より興業する旨の口上(こうじょう)を掲げていた...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...――あいつの舞台を、もう一度見てやろうか知ら!と、つぶやいたが、ちょいと癪にさわる気がして、中村座のつい前の、結城座で、あやつりを見たが、演(だ)しものが、何と「女熊坂(おんなくまざか)血潮(ちしお)の紅葉(もみじ)」――――畜生め、昔の女熊坂は、死に際に、恋人の手にかかって、女々(めめ)しく泣いて懺悔(ざんげ)をしたかも知れねえが、このお初は、そんな性(たち)とは丸っきり違うんだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
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