...細かな、柔かな無数の起伏を広々と涯(はて)しもなく押し拡げて、彼方には箱根山が、今日もまた狭霧(さぎり)にすっぽりと包まれて、深々と眠っていた...
大阪圭吉 「闖入者」
...実は少々心細かった...
大杉栄 「獄中記」
...医師から今晩は特に気を附けなければならんと言われた心細かった一夜は無事にしらしらと白らんだ...
高浜虚子 「子規居士と余」
...幾重にも細かい柔軟の波線をひろげている...
太宰治 「佐渡」
...諸科学の夫々の方法の特徴を細かく区別して描けなかったのは...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...これから起こる事柄を細かく思い浮かべた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼女は細かなのを――二三円だけを彼の金入から引出して...
豊島与志雄 「反抗」
...あまり細かくは言わないように」「はい...
中里介山 「大菩薩峠」
...細かい外形はわからなくなっている...
中谷宇吉郎 「雪」
...それまで細かいノートより外に何も作る必要のなかった彼に取ってのこの文章は...
夏目漱石 「道草」
...そういう細かい掛引をされたのだと知れた...
久生十蘭 「玉取物語」
...情景も気持の描写も飽くまでも細かく(よくこんな古い記憶がこんなにまで細かく残つてゐたと思はれる程)書かれて...
牧野信一 「海浜日誌」
...彼は懐ろから財布を取り出すと細かいものまで丹念に計算を始めた...
牧野信一 「公園へ行く道」
...細かいかけらまで余さず探し廻っているのを見た...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...まだ青いような若い南瓜の皮を剥(む)いて千六本のように細く切って塩でよく揉(も)んで水で洗って紫蘇(しそ)の葉を細かく刻んでそれへ交(ま)ぜて三杯酢をかけて出します...
村井弦斎 「食道楽」
...千鶴子は上唇に細かい汗を浮かし...
横光利一 「旅愁」
...細かな罪人までを...
吉川英治 「大岡越前」
...「こないだの晩、お綱姉ちゃんが、窓の下へきて、ソッと、あたいにくれて行ったの……」「えっ、お綱さんがかい?」と、みんな顔を見あわせて――「なんだッて、お前にそれを渡して行ったの」「このお金で、廓(なか)にいる、小ちゃい姉ちゃんを落籍(うけだ)して、あとのお金で店でも出して、みんなで仲よく働いてお暮らしよ――、そうして、細かいことは、この手紙に書いてあるから、お父さんが帰ったら、よく、読ンでくれるように、頼むンだよ……って、そういったまま――」話しているうちに、お三輪はシクシクしゃくりあげて、後のことは言いにくそうに、蒲団の中へ顔を埋めた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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