...浅き紫陽花(あじさい)の花になって...
泉鏡花 「悪獣篇」
...悲しみをひたにつつみて行くわれを柩に入れて船出せさせよわが佐渡よこひしき人ももろともに浪に沈むな船出するとき佐渡の山こともなげなるおもてしてわれの船出を見送るものか島にただひとりの君をのこしたるおもひをもちてわれ佐渡を去る大佐渡と小佐渡とならびなかぞらを君がまなざし照らすその島あなわびし都大路は路のべに小石のもてる喜を見ず赤玉や、青玉や、紫石英や、水晶を包んだ圓石を道普請に使つてゐる佐渡は、うなだれて歩かねばならない時にさへ、一人と言ふ感じがしませんでしたのに...
江南文三 「佐渡が島を出て」
...何物かで乱打されたらしく紫色の夥しいみみず腫れが覗いていた...
大阪圭吉 「寒の夜晴れ」
...○竜燈(りうとう)筑紫(つくし)のしらぬ火といふは古哥にもあまたよみて...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...紫がかった木の葉の影が...
豊島与志雄 「反抗」
...紫金城、万寿山、天壇、公園、市場、芝居、槐の並木……そんなことばかりで、それももう話しつくし、その他に何を彼女に話すことがあろう...
豊島与志雄 「祭りの夜」
...『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』の版元(はんもと)通油町(とおりあぶらちょう)の地本問屋(じほんどんや)鶴屋(つるや)の主人(あるじ)喜右衛門(きうえもん)は先ほどから汐留(しおどめ)の河岸通(かしどおり)に行燈(あんどう)を掛(かけ)ならべた唯(と)ある船宿(ふなやど)の二階に柳下亭種員(りゅうかていたねかず)と名乗った種彦(たねひこ)門下の若い戯作者(げさくしゃ)と二人ぎり...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...傍(かたわら)なる茄子形(なすびがた)の硯石(すずりいし)は紫檀(したん)の蓋(ふた)の面(おもて)に刻んだ主人が自作の狂歌...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...紫色(むらさきいろ)に膨張(ぼうちょう)して...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...紫色にギラギラと光っております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...紫琴女といふのは二十五六の...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紫(むらさき)の風呂敷包みの中には...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...ぬるぬると紫色にまとわりつけば...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...朱紫国全土を捧げても感謝し切れない――と思つた王は...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...全く別の属のものを紫草と書いてある...
牧野富太郎 「植物記」
...こうしたはなやかな遊びも派手(はで)な人出入りの物音も遠く離れた所で聞いている紫の女王(にょおう)以外の夫人たちは...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...白光が薄紅にやがて紫にかわつて遠く空際にたゆたひ...
吉江喬松 「山岳美觀」
...紫式部が情熱的であるに対して...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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