...不幸にして自分は城山(じょうざん)の公園に建てられた光栄ある興雲閣に対しては索莫(さくばく)たる嫌悪(けんお)の情以外になにものも感ずることはできないが...
芥川龍之介 「松江印象記」
...寒くて、索莫としていて、日本の家の面白味も安楽さもなく、また我国の学生の部屋の居心地よさもない...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...それは薄雲の多い寒空の下に見るからに索莫とした風景であった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...相手は突き放たれたように索莫とした目差しで...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...自分のかつての索莫たる寄宿舎生活をかえりみて...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...私はその日一日はなはだ索莫(さくばく)たる気持で...
太宰治 「惜別」
...その三厩竜飛間の荒涼索莫たる各部落でさへ...
太宰治 「津軽」
...彼等は殆ど本黨の秋風索莫たる逆境に堪へざらむとするの状あり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...そして索莫たる月日を過すうち...
豊島与志雄 「古木」
...不思議な索莫さに閉ざされてきた...
永井隆 「長崎の鐘」
...頓に索莫となった身辺を顧みて...
中島敦 「妖氛録」
...私の一身も春といふ期間に於て索莫たる境涯に在つたのである...
長塚節 「隣室の客」
...私は兎に角こんなことであつたから性情が何等の抑制もなく発達して行つたならば曠野のうちに彷徨ふやうな索莫たるものではなかつたであらう...
長塚節 「隣室の客」
...不思議な索莫さに閉ざされて来た...
原民喜 「長崎の鐘」
...その無味索莫たるはあらためて言ふまでもなし...
正岡子規 「俳句の初歩」
...林亭の夜は索莫(さくばく)であったのである...
森鴎外 「魚玄機」
...こうして何と索莫(さくばく)な……...
吉川英治 「私本太平記」
...どこへ失せてしまったのか」索莫(さくばく)たるひとみで...
吉川英治 「私本太平記」
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