...素肌の寒さ...
泉鏡花 「薄紅梅」
...素肌の上にガウンを着たらしい様子で出て来た...
江戸川乱歩 「悪霊物語」
...素肌のまま土塊をおし分けて立ち上り...
薄田泣菫 「独楽園」
...素肌の懐(ふところ)に肘(ひじ)まで収めたまま...
夏目漱石 「虞美人草」
...素肌の上に半纒(はんてん)一枚羽織つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...死人を見てゐると、生命への煮えたぎるやうな感覺が、素肌の肩さきに、腕に、ふくらはぎに、電氣のやうに熱くしびれて感じられる...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...花の髪飾りを付けたままの頭を素肌の胸のあたりに垂れて坐っていた...
プーシキン Alexander S Pushkin 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...素肌の胸に流れ込んで来る霧に...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...素肌の胸に直接(ぢか)に当てゝ...
牧野信一 「南風譜」
...「出ろやい! 長崎屋! 人鬼! 生血吸い! 出ろやい!」「手めえに、ひと言いってやらねえことにゃあ、ここをどくおれッちじゃあねえぞ!」すると、一人の指導者格が、煮しめたような手拭を、すっとこ冠り、素肌の片肌脱ぎ、棒千切(ちぎ)れを、采配のように振り立てて、「やい! みんな! うしろへまわれ! 石をほうっていても仕方がねえ! うしろの米庫(こめぐら)をたたきこわせ! 米庫は板がこいに、屋根がしてあるだけだ――たたきこわして、ふんだんに頂戴(ちょうだい)しろ! 長崎屋さんは、今まで儲(もう)けたお礼に、おめえたちに、いくらでも、拾っていけっておっしゃってるぜ!」「わあい! 米庫だ! 米庫だ! 米を貰え! 米を貰え!」叫び、わめきつつ、指導者の棒千切れのゆび示すままに、群集は、建ちつづいた、蔵の方へ走ってゆく...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...いくらか火照(ほて)った素肌の顔をそこに生真面目に並べている...
宮本百合子 「合図の旗」
...薄い羅紗の地質を通して素肌の上に焼け付くのである...
シュミットボン Willhelm Schmidt-Bonn 森鴎外訳 「鴉」
...」矢代は今は完全に素肌の感覚に戻り身を震わせて云った...
横光利一 「旅愁」
...湯殿に隠(こも)りて素肌のまま足の爪(つめ)切る時すら...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...素肌のたましひが躍動して出る...
吉川英治 「折々の記」
...洗ひ落した素肌の爪をしてゐたりするのは...
吉川英治 「折々の記」
...まったく一個の素肌の人間がありのままに感情を吐露(とろ)しているすがたとしか見られなかった...
吉川英治 「黒田如水」
...――素肌の自己...
吉川英治 「宮本武蔵」
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