...その又砂利の上には庭樹の落葉が紛々(ふんぷん)として乱れてゐる...
芥川龍之介 「漱石山房の秋」
...彼岸となれば、釣具を深く蔵めて、釣の話しだにせず、世の紛々たる、釣師の、数でこなす派のものを、冷眼に見て、笑えり...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...要するに臆説(おくせつ)紛々(ふんぷん)としていずれが真相やら判定し難いがここに全然意外な方面に疑いをかけようとする有力な一説があって曰く...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...トロイア軍は紛々と亂れて逃れ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...紛々として互ひに短長を爭ひ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...明らかに殺気そのものが紛々濛々(ふんぷんもうもう)と湧いているのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...立つて『花前に蝶舞ふ紛々たる雪』の歌をうたふ...
野口米次郎 「能楽論」
...――入費は嵩んでも苦しゅうない――てな事を言う武家の紛々(ごたごた)なんかに首を突っ込むのは嫌だ」手の付けようがありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...好い心持そうに飲んでいらっしゃるじゃありませんか」「それがどうした」八五郎はまだ紛々としてねばっておりますが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...糠の匂ひの紛々とした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...四辺(あたり)が大黒帽に飛白(かすり)の衣服(きもの)で紛々(ごたごた)となる中で...
二葉亭四迷 「平凡」
...詩にて申候えば『古今集』時代は宋(そう)時代にもたぐえ申すべく俗気紛々(ふんぷん)と致し居(おり)候ところはとても唐詩(とうし)とくらぶべくも無之候えども...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...しかしこの歌を後世の俗気紛々たる歌に比ぶれば勝(まさ)ること万々(ばんばん)に候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...テダの語原には紛々(ふんぷん)の諸説があるが...
柳田国男 「海上の道」
...会議のたび紛々を重ねるばかりで一決しない...
吉川英治 「三国志」
...殿上いずこの間(ま)でも廊でも紛々(ふんぷん)たる騒(ざわ)めきである...
吉川英治 「私本太平記」
...紛々(ふんぷん)たる不平がたかい...
吉川英治 「新書太閤記」
...氷雪篇花(はな)紛々(ふんぷん)一――急転直下である...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索