...節物(せつぶつ)は素(もと)より異れども、紛々たる細雨は、予をして幸に黄梅雨(くわうばいう)の天を彷彿せしむ...
芥川龍之介 「開化の殺人」
...答 自殺するは容易なりや否や?問 諸君の生命は永遠なりや?答 我らの生命に関しては諸説紛々(ふんぷん)として信ずべからず...
芥川龍之介 「河童」
...豪放洒脱(しゃだつ)な官界の逸人高橋自恃庵が作った放縦自由な空気は忽(たちま)ち一掃されて吏臭紛々たる官場と化してしまった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...性の善悪について立入った穿鑿をしなかったから爾来三千年中国でも諸説紛々いまだに帰着するところがない...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...赤穗四十七士が君讐を報じて間もなき程にて群議紛々として是非一定せざりしに...
大町桂月 「豐島ヶ岡」
...意味は徳川時代から茶人の間の問題となっていて、諸説紛々...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...諸説紛々適従するところを知らぬ...
太宰治 「津軽」
...諸説紛々(ふんぷん)として爾来(じらい)二十八年を過ぐる今日に至るまでなお帰一するところを知らぬ...
橘外男 「蒲団」
...刀刃または兩刃の 25槍を用ゐて彼と是紛々として屠り合ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 325かく紛々とアカイアの軍勢勇を喪ひて...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...随て其人物に対する批評の紛々たるは亦此侯と此伯を以て最も多しとす...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...六花(りっか)紛々(ふんぷん)たる空に白皚々(はくがいがい)たる堂宇の屋根を屹立(きつりつ)せしめ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...小止(おや)みもなく紛々として降来(ふりく)る雪に山はその麓(ふもと)なる海辺(うみべ)の漁村と共に埋(うずも)れ天地寂然(てんちせきぜん)たる処...
永井荷風 「江戸芸術論」
...まことに俗臭紛々たる凝(こ)りやうです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...糠の匂ひの紛々とした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まだ紛々(ふんぷん)としております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...和歌のやさしみ言ひ古し聞き古して紛々(ふんぷん)たる臭気はその腐敗の極に達せり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...魏廷の軍政方針は紛々(ふんぷん)議論のみに終って...
吉川英治 「三国志」
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