...豪放洒脱(しゃだつ)な官界の逸人高橋自恃庵が作った放縦自由な空気は忽(たちま)ち一掃されて吏臭紛々たる官場と化してしまった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...遠くから見たときは異臭紛々(ふんぷん)たる感じがする臓腑館のように見えたものが...
海野十三 「千早館の迷路」
...諸家の諸説が紛々として帰趨の定まらぬところに...
太宰治 「津軽」
...首級の紛々と落つるほとりに戰へり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...紛々として互ひに短長を爭ひ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...国論紛々帰著する所なく...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...紛々として降る雪...
永井荷風 「狐」
...雪花紛々たり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...それでなければいたずらに紛々たる擾乱(じょうらん)を文壇に喚起する道具に過ぎなくなります...
夏目漱石 「創作家の態度」
...譬喩(ひゆ)と諷刺が紛々(ふんぷん)として匂う癖に...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...――入費は嵩(かさ)んでも苦しうない――てな事を言ふ武家の紛々(ごた/″\)なんかに首を突つ込むのは嫌だ」手の付けやうがありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...義理人情は紛々と錯綜(いりまじ)って自から数奇なる人生の紋様を織り出してゆく...
久生十蘭 「魔都」
...紛々たる人の噂(うわさ)は滅多に宛(あて)になら坂(ざか)や児手柏(このでがしわ)の上露(うわつゆ)よりももろいものと旁付(かたづけ)て置いて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...和歌のやさしみ言い古し聞き古して紛々(ふんぷん)たる臭気はその腐敗の極に達せり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...班内でも諸説紛々という有様であったらしい...
夢野久作 「ざんげの塔」
...紛々(ふんぷん)たる声にとりまかれて困惑している主君の顔が――藤吉郎には...
吉川英治 「新書太閤記」
...楠木家の菊水ノ紋については、郷土の間でも、諸説紛々で、一定はないらしい...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...片々(へんぺん)の影を描いては消え去る落葉の紛々(ふんぷん)と...
吉川英治 「平の将門」
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