...いま西郷副園長が冗談に紛(まぎ)らせて云ったこととを併(あわ)せて頭脳(あたま)の中で整理していた...
海野十三 「爬虫館事件」
...義妹たちに相談すれば利害の相反する雪子と妙子との間が紛糾することもあろうしと考え...
谷崎潤一郎 「細雪」
...打たるる者と打つ者と叫喚怒號紛として兩軍亂れ鬪ひて血は戰場を流れ行く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...春は吉野のあさぼらけこむる霞のくれなゐも遠目は紛ふ花の峯夏はラインの夕まぐれ流は遠く水清く映るも岸の深みどり汨羅の淵のさゞれなみ巫山の雲は消えぬれど猶搖落の秋の聲潮も氷る北洋の巖を照らすくれなゐは光しづまぬ夜半の日か...
土井晩翠 「天地有情」
...自然に難を排し紛を釋くの膽智あるを示し...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...それらの不快や不安を紛らわすためかどうか知らないが...
中里介山 「大菩薩峠」
...氣違ひの氣紛(きまぐ)れでないことはあまりにも明らかです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...相変らず、順一は留守がちのことが多く、高子との紛争も、その後どうなっているのか、第三者には把(つか)めないのであった...
原民喜 「壊滅の序曲」
...紛(ぷん)と好(い)い匂(におい)が鼻を衝く...
二葉亭四迷 「平凡」
...おりおり消息などをさし上げては自分でもわずかに気を紛(まぎ)らわせようとしていた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...それが何うもやきもち沁みた口惜し紛れのやうでならなかつた...
牧野信一 「奇友往来」
...アンヌ女尊者は紛失物を露(あら)わし...
南方熊楠 「十二支考」
...王龍は蓮英を追っぱらおうなどせず阿蘭は依然として紛糾する家庭の中で王龍に先立たれて了うのである...
宮本百合子 「映画の語る現実」
...夜と朝の入り替わる時刻の明暗の紛れに車を縁側へ寄せさせた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ほかのことに紛れてうっかりとしている場合もあるだろうから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...つれづれで退屈な時間もあなたに代わってその人の世話をしてあげることで紛らしたいなどとお勧めになるものですから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...やや褐いろに近いと思えた目は紛うかたもない藍ばんだ黒さで...
室生犀星 「幻影の都市」
...花嫁の失踪に端を発した去年からの紛争は...
吉川英治 「源頼朝」
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