...彼の An sich の自信は聊かも紊されるところがないのである...
阿部次郎 「帰来」
...そしてこんな家庭内の紊乱した噂が世間へ洩(も)れるのを...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...金糸と閃めく日影(ひかげ)紊(みだ)して駛(はし)り行く水の清さは...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...相公閣下、閣下は元來職守に嚴に、職權を行するを以て高名なりし人なり、井上伯は閣下に比すれば、機略に富み決斷に長ずれども、其の趺宕の性、動もすれば法律規則を無視するの弊あり、伊藤侯は閣下に比すれば、立法の才、組織の能力に於て超絶すれども、其の文采言語の多き割合には其の實行躬踐の分量甚だ少なきの缺點あり、閣下は固より伊藤侯の才能なく井上伯の膽氣なしと雖も、而も曾て重きを藩閥政府に有したるは、實に官府の秩序と威權とを保維するを以て行政の要と爲したるに由れり、其の或は極端なる法治主義に偏して時に精刻峻急に陷るの病ひあるのみならず規摸も亦甚だ狹小にして、官權擴張の外殆ど大なる主張なかりしに拘らず、我輩は尚ほ此點に於ける閣下の本領を認めて、所謂る藩閥武斷派の代表者と爲したりき、今や閣下の本領は全く消磨して、精刻峻急の角度を取り除きたる代りに、秩序もなく、節制もなく、官紀を紊亂し、行政機關を荒廢して、唯だ内閣一日の姑息を謀らむとす何ぞ其の老ゆるの太甚しきや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...閣下の失策は自ら官紀紊乱の事実を認めつゝありと断言せざる可からず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...田舎者は不作法で規律を紊(みだ)すと云ったそうだが...
山本周五郎 「いさましい話」
...そのときつぎはぎだらけの垢染(あかじ)みた袷(あわせ)がぶざまに紊(みだ)れて...
山本周五郎 「お繁」
...若君のお心を紊(みだ)さぬよう...
山本周五郎 「菊千代抄」
...政治の紊乱(ぶんらん)という名目で兵部を糾弾したものだ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...風紀を紊(みだ)した...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...それで威張られては農村のしきたりを紊(みだ)すだけだと...
横光利一 「夜の靴」
...統一を紊さず地中から空色で生れでて来て...
横光利一 「旅愁」
...漢朝にとっては国を紊(みだ)し帝威を冒(おか)す姦党...
吉川英治 「三国志」
...人と人との道みな紊(みだ)るとき...
吉川英治 「三国志」
...軍を紊(みだ)せりとは...
吉川英治 「新・水滸伝」
...なんで世を紊(みだ)し...
吉川英治 「新・水滸伝」
...それを紊(みだ)したら...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...勝手に紊(みだ)しているものと...
吉川英治 「親鸞」
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