...私の靴には膏薬(こうやく)のように粘る軟土が慕いよった...
有島武郎 「フランセスの顔」
...ガータロに見込まれると水が粘ると云う話だが...
谷崎潤一郎 「紀伊国狐憑漆掻語」
...温かい茶一杯で半日も粘る術があるじゃないか」「そう思うのは素人量見で――銭形の親分の前だが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夜っぴて米沢町一丁目の路地の奥に粘るんだから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...奴も俺もお手上げだ」奴を相手に俺が粘るように...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...これにこんな名のあるのはその嫩の枝蔓の内皮が粘るから...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...実際そんなに沾れ粘るなら沙塵が着き...
南方熊楠 「十二支考」
...内に少し酸(す)く冷やかな軟肉ありてゴム様に粘る...
南方熊楠 「十二支考」
...作家として粘ること自体がいかがわしい文学の潮流に対してのプロテストであり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私はなかなかその点では粘るから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あんな連中でさえそれだけ粘る...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私たちにそれは出来ないが、しかし、粘るところは、ざらにない力です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...粘ることを意味したようだが...
柳田国男 「木綿以前の事」
...やや粘るというだけでずっと歯切がよく...
柳田国男 「木綿以前の事」
...そして粘るように軟らかな妻の躯が...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...彼の太刀は実によく「粘る」ところに先天的な特色があった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ベタベタと粘る手の掌を肉襦袢にこすりこすり...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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