...above all ――テムズを撫でる粉炭の風...
谷譲次 「踊る地平線」
...すくひあげられて小魚かゞやくはぎとられた芝土の日だまり・菊作る家の食客してゐるそこもこゝも岩の上には仏さま(高座石寺)谺谺するほがらか鳴きかはしてはよりそふ家鴨枯木かこんで津波蕗の花つめたからう水底から粉炭(ビフン)拾ふ女火のない火鉢があるだけ落葉ふんでおりて別れる(緑平君に)・みすぼらしい影とおもふに木の葉ふる(自嘲)十一月廿九日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...鳴きやめるより去つた夕蝉・降つたり照つたりちよろ/\するとかげの子・まづしい火をふく粉炭がはねた・それはそれとして火を焚きつける戯作三首(或る友に)・風鈴の音のよろしさや訪ねてくれるといふ・風鈴のしきりに鳴るよ訪ねてくれる日の・訪ねてくれて青紫蘇の香や飲ましてくれる八月三日けさは早かつた...
種田山頭火 「行乞記」
...落ちる日としてしばしかゞやく・あんたに逢ひたい粉炭はじく・霜をふんでくる音のふとそれた・右は酒屋へみちびくみちで枯すゝき・いつも尿するあとが霜ばしら・何だか死にさうな遠山の雪障子に冬日影の...
種田山頭火 「其中日記」
...土は眞赤に燒け切つて居てそこら一面に粉炭が散らばつて居る...
長塚節 「才丸行き」
...それで粉炭がどれだけ有つたといふと俵の底が隱れるだけであつた...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...粉炭をためてはならないこと...
羽仁もと子 「女中訓」
...粉炭は朝長火鉢に入れて...
羽仁もと子 「女中訓」
...私は粉炭(こなずみ)を火鉢の中に敷いて...
林芙美子 「新版 放浪記」
...彼らは粉炭を呼吸するのだ...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...燃料用に貰った粉炭が...
火野葦平 「花と龍」
...これに煙草入(たばこいれ)や火口(ほくち)の粉炭入(こなずみいれ)など一式揃っているものでありますが...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...火鉢に粉炭を入れ...
山本周五郎 「青べか物語」
...冬でも粉炭の量り買いだし...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...それに連れて半分粉炭(こなずみ)に埋もれた福太郎の安全燈(ラムプ)が...
夢野久作 「斜坑」
...原油(オイル)と粉炭を顔に塗付(ぬりつ)けると知らん顔をしてポンプに掛かっていたが...
夢野久作 「爆弾太平記」
...暗い上にも更に粉炭の闇が濛々と厚くなった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...六から喫煙癖にそまっていた)顔じゅうにたかッている粉炭へチリッと燃えつきそうになる...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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