...』私は何とか言つて慰めたかつたが、何とも言ひ様がなくて、黙つて顔を瞶(みつ)めてゐると、『これ上げようかな?』と言つて、花簪を弄つたが、『お前は男だから...
石川啄木 「二筋の血」
...簪を逆手に取れば...
泉鏡花 「遺稿」
...單四嫂子はまだほかに銀の耳輪と金著(きんき)せの銀簪(かんざし)を一本持っているので...
魯迅 井上紅梅訳 「明日」
...張園の木(こ)の間(ま)に桂花を簪(かざし)にした支那美人が幾輛となく馬車を走らせる光景...
永井荷風 「十九の秋」
...櫛(くし)と簪(かんざし)と懐ろ鏡を縁側に並べ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それにいろ/\の小道具に交(まじ)つて女の兒の簪(かんざし)らしい古い摘(つ)まみ細工(ざいく)やら...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...簪の花のやうに大事に育てました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...根下(ねさが)りの丸髷に大きな珊瑚珠(さんごじゅ)の簪(かんざし)を挿し...
長谷川時雨 「最初の外国保険詐欺」
...(櫛と簪を髪からとる)茂兵衛 いいよ...
長谷川伸 「一本刀土俵入 二幕五場」
...お高(たか)といへるは洋銀(ようぎん)の簪(かんざし)で天神(てんじん)がへしの髷(まげ)の下(した)を掻(か)きながら思(おも)ひ出(だ)したやうに力(りき)ちやん先刻(さつき)の手紙(てがみ)お出(だ)しかといふ...
樋口一葉 「にごりえ」
...なぜ簪の主の死体がないのか...
久生十蘭 「海豹島」
...考えて見ればその花簪は島の誰かが馴染みの娼婦からでも貰って来たのかも知れず...
久生十蘭 「海豹島」
...昔のその日の儀式に用いられた簪(かんざし)の端を少し折って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...花簪の所有者は目下の処不明なるも...
夢野久作 「少女地獄」
...頭上に大きな髷を異様に高く結び上げて紅い花簪をしてゐる満洲婦人が供を伴れてゐるのに出会つた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...しかしなかなか心残りは多い」柳眉(りゅうび)剣簪(けんさん)一その後...
吉川英治 「三国志」
...黄金(きん)の兜巾簪(ときんかんざし)でくくり締め...
吉川英治 「新・水滸伝」
...『――簪(かんざし)くださいな...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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