...この簡素な舞台を見て非常にいい心もちがした...
芥川龍之介 「野呂松人形」
...茶人がその簡素な趣味生活の享楽を一(ひとわん)の茶とともに飽喫しようとするには...
薄田泣菫 「侘助椿」
...簡素な、比較的かつちりした私の気分によくそぐふた小屋であるけれど、もうそここゝに朽腐したところや、壊れたところがあつて、側面へまはつてみると、よくもかうして寝起きがしてゐられると思ふくらゐであつた...
徳田秋聲 「余震の一夜」
...過去の賢明簡素な芸術を貫いてる美の本能とが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...母と二人だけで簡素な生活に這入れる事が...
林芙美子 「新版 放浪記」
...シゴイさんは修道院の独房(エルミタアジュ)のような簡素な風景の中にあおのけに寝...
久生十蘭 「だいこん」
...そういう山のなかの簡素な暮らしを好んでいるようにさえ見えた...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...幾棟かの極(きわ)めて簡素な丸木小屋が点在していて...
牧野信一 「ゼーロン」
...簡素なベツドと化粧卓子だけがある四畳半で...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...そして彼らは簡素な食物でその家族を十分に養い得るかもしれないけれども...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...昔の小説家が主観的な力(りき)みで、そういう箇(ママ)性の範囲での闊達さに到達した、そういうのではない内容での闊達さ、美、簡素な力、そういうものが本当に欲しい...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「人はここに物柔らかな・心地よい・自然簡素な・言葉づかいと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...三の簡素な道具とが散らばっている...
柳宗悦 「全羅紀行」
...師を訪うて来る人もない」という只圓翁の簡素な手記の中には...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...至極簡素な夕食を共にした...
吉川英治 「新書太閤記」
...いとも簡素なもの...
吉川英治 「随筆 新平家」
...あの簡素な構造をもってして...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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