...この簡素な舞台を見て非常にいい心もちがした...
芥川龍之介 「野呂松人形」
...いつそ簡素な田舎(ゐなか)ぐらしに隠遁したやうな気持で悠々自適してゐた方がよかつたなぞと考へた...
武田麟太郎 「現代詩」
...死後そのままここに移したもので、窓かけも椅子も敷物も茶っぽい緑の一色、簡素な部屋だ...
谷譲次 「踊る地平線」
...簡素な、比較的かつちりした私の気分によくそぐふた小屋であるけれど、もうそここゝに朽腐したところや、壊れたところがあつて、側面へまはつてみると、よくもかうして寝起きがしてゐられると思ふくらゐであつた...
徳田秋聲 「余震の一夜」
...極端に簡素な室だ...
豊島与志雄 「道化役」
...何ら特別の装飾などのない簡素なお部屋であった...
中谷宇吉郎 「雪今昔物語」
...二階の部屋でスープとオムレツだけの簡素な晩餐でがまんしなければならなかったのは少しつらかった...
野上豊一郎 「シェイクスピアの郷里」
...団欒(だんらん)の興を添える簡素な音楽として誰にでも喜ばれよう...
野村胡堂 「楽聖物語」
...清逸の気にみちた簡素な空間に荘重な彩(いろど)りをあたえていた...
久生十蘭 「西林図」
...私の或る知人の簡素な茶室に...
牧野信一 「推賞寸言」
...あの簡素なところをもっていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...簡素な服に、白い折襟とカフスとをつけた、一人の若い娘――純潔で愚昧な顔立ちの、ダニエルの妹マリア・ヨゼエファが、戸口のすぐそばに立ったまま、みんなに手をさし伸べた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「予言者の家で」
...兎(と)に角(かく)避姙は都会生活の複雑な事情から由来するので簡素な地方生活には其(その)必要が無い...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...こういう簡素な生活には馴れきっている寝すがたである...
吉川英治 「上杉謙信」
...簡素な草廬(そうろ)を結んで...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...あの簡素な構造をもってして...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...四隅(よすみ)に立っている四天王(してんのう)は簡素な刻み方で...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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