...簇々(そうそう)とつるをのばしたその花が...
芥川龍之介 「偸盗」
...成程、夕顔の浴衣を着た、白い顔の眉の上を、すぐに、すらすらと帆が通る……と見ただけでも、他事(よそ)ながら、簇(しんし)、荷高似内のする事に、挙動(ふるまい)の似たのが、気咎(とが)めして、浅間しく恥しく、我身を馬鹿と罵(ののし)って、何も知らないお京の待遇(もてなし)を水にした...
泉鏡花 「薄紅梅」
...都市の随所に簇立せる銅像の類は悉く低級虚偽の作品のみであつて...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「少数と多数」
...劍の如き小石の簇立せる岬を劍岩と云ひ...
大町桂月 「十和田湖」
...石川光明氏等へ味方するものが簇々(ぞくぞく)と出て来ました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...笠だけが茸(きのこ)の簇生(ぞくせい)したように続いている...
中里介山 「大菩薩峠」
...稻(いね)はぼつ/\と簇(むらが)つて居(ゐ)る野茨(のばら)の株(かぶ)を除(のぞ)いて悉(こと/″\)く擴(ひろ)げられてある...
長塚節 「土」
...其(そ)の遠(とほ)く連(つらな)つた山々(やま/\)の頂巓(いたゞき)にはぽつり/\と大小(だいせう)の簇雲(むらくも)が凝(こ)つた儘(まゝ)に掻(か)き亂(みだ)されて暫(しばら)く動(うご)かなかつた...
長塚節 「土」
...小さな溝のやうな流が浜豌豆の花が簇がつて咲いて居る砂にしみ込んで末のなくなつて居るあたりから下駄を手にして汀を歩いた...
長塚節 「隣室の客」
...それらの葉簇の下には今は見えないが...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...次第次第に簇(むら)がつて来た...
ゲオルヒ・ヒルシユフエルド Georg Hirschfeld 森林太郎訳 「防火栓」
...丁度それらの多くがいま花をさかせる季節なのでごちやごちやにそれぞれの花を簇がらせながら...
堀辰雄 「おもかげ」
...一方の幹には青い葉が簇(むら)がり出ているのに...
堀辰雄 「菜穂子」
...簇がつて可愛らしい小さな花を咲かせてゐるのが...
堀辰雄 「牧歌」
...鍋冠山などが攅簇(さんそう)して...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
...一簇(ひとむら)また一簇...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
...叢から簇々出て來るのを見とめる‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥若いシルストルはその日...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...どんよりと簇(むらが)り戻ってきて...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索