...火箸で灰文字を書いてゐたが...
芥川龍之介 「秋」
...がらっと箸(はし)を措(お)くと泥だらけなびしょぬれな着物のままでまたぶらりと小屋を出た...
有島武郎 「カインの末裔」
...浮かぬ顔をして火箸許り弄(いぢ)つてゐたので...
石川啄木 「二筋の血」
...お児は四つでも箸(はし)持つことは...
伊藤左千夫 「奈々子」
...もうふたつの耳朶を真赤にして箸を持って振向き...
魯迅 井上紅梅訳 「風波」
...彼は火箸をぐさと灰に深く突き刺し...
太宰治 「嘘」
...謙作は箸を控えて顔をあげた...
田中貢太郎 「港の妖婦」
...箸(はし)の転んだようなことにも云い出すのである...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...例えば茶碗とか箸とかを取る時...
豊島与志雄 「霧の中」
...「倅までが、遠島か」高崎五郎右衛門は、左手で、火箸を握って、灰の中へ突き立てながら、女房を見て、静かに云った...
直木三十五 「南国太平記」
...真鍮(しんちゅう)の火箸(ひばし)で灰の上へ...
夏目漱石 「永日小品」
...蕎麦の味を解しない人ほど気の毒な事はない」と云いながら杉箸(すぎばし)をむざと突き込んで出来るだけ多くの分量を二寸ばかりの高さにしゃくい上げた...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...逞(たく)ましい火箸(ひばし)でも構わない...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鐵の火箸を自分の喉(のど)に突つ立てました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...箸で三片ほどつまみ口に入れると...
平光吾一 「戦争医学の汚辱にふれて」
...お箸(はし)も取られなかったようである...
吉川英治 「私本太平記」
...炉に挿(さ)してある大きな金火箸を持って...
吉川英治 「新書太閤記」
...どんな席に置かれても、眼上(めうえ)の前でも、至って窮屈がらない質(たち)の信長は、眼八分に持ってくる銚子にも、小笠原流の料理、故実(こじつ)のやかましい膳部も、極めてこだわりのない姿で、「御一献(ごいっこん)」と、注(つ)がれれば、「は」と、素直に受け、「お箸を」と、すすめられれば、「頂戴申す」と、辞儀して、みな喰べた...
吉川英治 「新書太閤記」
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