...」お嬢さんは細い指を、白く揃えて、箱火鉢に寄せた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...ふと例の煙草屋の金歯の亭主が、箱火鉢を前に、胸を反らせて、煙管(きせる)を逆に吹口でぴたり戸外(おもて)を指して、ニヤリと笑ったのが目に附くと同時に、四五人店前(みせさき)を塞いだ書生が、こなたを見向いて、八の字が崩れ、九の字が分れたかと一同に立騒いで、よう、と声を懸ける、万歳、と云う、叱(しっ)、と圧(おさ)えた者がある...
泉鏡花 「婦系図」
...夜になると患者の控室になつて居る表の座敷の釣りランプの下で箱火鉢に倚り掛りながら藥局生が中央から分けた髮を光らせてパックを披いて見て居る...
長塚節 「開業醫」
...粗末な箱火鉢には炎をたてて...
林芙美子 「浮雲」
...庭の土が見えるだけなので箱火鉢のそばに地圖を擴げて東へ一里二十丁程ある岡田村へ行く計畫をたてゝみました...
林芙美子 「大島行」
...古道具屋で箱火鉢と小さい茶ブ台を買ったり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...下宿の箱火鉢に紙屑(かみくず)を燃やして根気よく唐もろこしを焼く...
林芙美子 「新版 放浪記」
...二人は火のない箱火鉢を真中にして暫く向きあつてゐた...
林芙美子 「下町」
...枕もとには箱火鉢に湯沸しが掛かッて...
広津柳浪 「今戸心中」
...行燈は箱火鉢の傍に置いてあって、箱火鉢には、文火(ぬるび)に大きな土瓶(どびん)が掛かっている...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...箱火鉢の前の座布団の上に胡坐(あぐら)をかいた...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...箱火鉢の向うに敷く...
森鴎外 「雁」
...わざわざ片附けてあるような箱火鉢の抽斗(ひきだし)を...
森鴎外 「雁」
...お玉は箱火鉢の傍(そば)へすわって...
森鴎外 「雁」
...箱火鉢を中に置いて...
森鴎外 「雁」
...箪笥(たんす)と箱火鉢との間に...
森鴎外 「雁」
...膳を膳棚にしまって箱火鉢の所に帰って据わったお玉は...
森鴎外 「雁」
...箱火鉢(はこひばち)のそばに...
吉川英治 「※[#「さんずい+鼾のへん」、第4水準2-79-37]かみ浪人」
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