...僕は僕の小学時代に古い筆を何本も筆塚へ納めたことを思ひ出した...
芥川龍之介 「本所両国」
...我が住める怪しき家、劫盜(ひはぎ)の屍(かばね)をさらしたる處、おそろしき水牛、皆其筆に上りぬ...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...単にこの点だけでも『八犬伝』を古往今来の大作として馬琴の雄偉なる大手筆(だいしゅひつ)を推讃せざるを得ない...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...こんなものが出来たといって書いて下さった」正造はそういいつつ硯箱から筆を執って口ずさみながら書き下した...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...只此書は旅中見聞せる事を筆のついでにしるせるものにして...
太宰治 「津軽」
...たとえば一本の鉛筆を垂直に机上に立てて手を離せば鉛筆は倒れるが...
寺田寅彦 「映画の世界像」
...がより大切なのは編集部員(探訪・論説委員・主筆・其他)と営業計画部員との区別である...
戸坂潤 「辞典」
...しかし執筆の当時には特に江戸趣味を鼓吹する心はなかった...
永井荷風 「正宗谷崎両氏の批評に答う」
...筆蹟は人格を現すというが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...筆者は更に、以前にはこの地方に地方条令と呼ぶある古法があり、その一つには、何人も自己の自由になる四〇磅(ポンド)を有たなければ結婚してはならぬ、と定められていた、と云っている...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...王充のいわゆる「夫聖賢下筆造文(それせいけんのふでをくだしぶんをつくるや)...
森鴎外 「渋江抽斎」
...そうしてその筆跡にはなんらのこだわりがないのだ...
柳宗悦 「工藝の道」
...筆頭年寄の小林道之助が謹慎を命ぜられた...
山本周五郎 「めおと蝶」
...ですからトテモ口先や筆の先では形容の出来ない...
夢野久作 「狂人は笑う」
...あるとき矢代の妹の幸子に手紙の代筆を頼んだことがあった...
横光利一 「旅愁」
...そしてまた、右方の柱にも「待てしばし子を思ふ闇に迷ふらん、六つのちまたの道しるべせん」と書いて、同筆で、相模ノ国の住人本間九郎資貞(すけさだ)が子、源内兵衛(げんないびやうゑ)資忠、生年十八歳正慶二年仲春(ちゆうしゆん)二日父が死骸を枕にして同じ戦場にて命をとどめ畢(をは)んぬと、書きのこされた文字があった...
吉川英治 「私本太平記」
...月は濁池(だくち)にやどるとも汚れず、心浄(きよ)ければ、身に塵(ちり)なしじゃ、そして、娯(たのし)みなきところにも、娯み得るのが、風流の徳というもの、誹(そし)るものには、誹らせておけばよい」慈円は、筆をとって、はや、想(そう)のできた和歌(うた)を、さらさらと書いていた...
吉川英治 「親鸞」
...太平記の筆者にはその特技はないといってよい...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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