...わすれられたざくろが一つ(改作再録)・笹原の笹の葉のちらつく雪・雪ふりつもる水仙のほのかにも・かすかな音がつめたいかたすみ・茶の木の雪のおのがすがた・投げだしてこのからだの日向・どうすることもできない矛盾を風が吹く・つい嘘をいつてしまつて寒いぬかるみ三月十四日まつたく春だ...
種田山頭火 「其中日記」
...風が裏手の広い笹原をざわざわと吹き渡っている...
徳田秋声 「黴」
...そこは笹原がかなり広く続いたところであるのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...わたしがあの笹原でパッタリと蒼い面をした浅吉さんに行きあったことは...
中里介山 「大菩薩峠」
...吾輩は藁(わら)の上から急に笹原の中へ棄てられたのである...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...笹原の經驗では、女性のかうした味氣なさと云ふものは、結婚をした女性としてはまれに見る冷たさだなと、さつきから早苗の樣子をぢつと眺めてゐた...
林芙美子 「風媒」
...あんまり早苗が怒つてゐるやうなので、笹原も、夜分にでも來て下さいませんかと、思ひあまつたやうな返事であつた...
林芙美子 「風媒」
...着物姿の笹原がすぐ出て來て...
林芙美子 「風媒」
...笹原の坐つてゐた派手な座蒲團が急にまぶしく早苗の眼の中へ這入つて來た...
林芙美子 「風媒」
...紅茶道具を無雜作にさげて來た笹原は...
林芙美子 「風媒」
...やがて湯を持つて來た笹原は...
林芙美子 「風媒」
...*27有馬山いなの笹原風ふけばいでそよ人を忘れやはする涯(はて)しない「時」の海原を滑ってゆく人生という船の上に立って...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...南稜が上部笹原に連なる付近は...
松濤明 「一ノ倉沢南稜」
...不意に路傍の笹原の中から...
柳田国男 「山の人生」
...お目にかかる事が出来たので御座います」「芝居だ芝居だ」「スゴイスゴイ……」「ああ……たまらねえ」満場の人々のタメ息が一瞬間笹原を渡る風のように渦巻きドヨめいて直ぐに又ピッタリと静まった...
夢野久作 「二重心臓」
...静かに笹原を分けて土蔵の方へ近付いた...
夢野久作 「笑う唖女」
...つづらをりはるけき山路登るとて路に見てゆく竜胆の花散れる葉のもみぢの色はまだ褪(あ)せず埋めてぞをる竜胆の花をさびしさよ落葉がくれに咲きてをる深山竜胆の濃むらさきの花摘みとりて見ればいよいよむらさきの色の澄みたるりんだうの花越ゆる人まれにしあれば石出でて荒き山路のりんだうの花笹原の笹の葉かげに咲き出でて色あはつけきりんだうの花また...
若山牧水 「秋草と虫の音」
...篠笹原はうすい緑の柔かなふくらみを持つて廣がつて居り...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索