...端近(はしぢか)に三宝(さんぼう)を二つ置いて...
泉鏡花 「遺稿」
...」と云うのを、聞かない振でさっさと引込(ひっこ)もうとしたので、「あれ、お待ちなさい」と、下〆(したじめ)をしたばかりで、衝(つ)と寄って、ブラッシを引奪(ひったく)ると、窓掛をさらさらと引いて、端近で、綺麗に分けてやって、前へ廻って覗(のぞ)き込むように瞳をためて顔を見た...
泉鏡花 「婦系図」
...母までが端近(はしぢか)に出て来てみんなの話にばつを合わせる...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...端近(はしじか)にいると空も見える...
伊藤左千夫 「廃める」
...端近い女部屋から終(つい)に奥深い女部屋に伝わった...
魯迅 井上紅梅訳 「阿Q正伝」
...何でも電話のあるところが端近(はしぢか)で...
田山録弥 「時子」
...大阪の東の端近く...
直木三十五 「死までを語る」
...端近く絣(かすり)の前を合せる...
夏目漱石 「虞美人草」
...かならず端近くに出ては雪をながめて居ったものでした...
堀辰雄 「姨捨」
...身の穢れている間は、一日中、何もすることがないので、端近くに出ては、私はそうやってしまいには自分を言いようもなく苦しめ出すのが知れ切っているような物思いばかりをしていたのだったが、或夕方も私がそんな端近くでいつまでもぼんやりしていると、後ろから道綱が気づかわしそうに「もうおはいりになりませんか」と私に声をかけた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...が、一番端近かの、居睡りしつづけている鉄道局の制服をきた老人の傍に坐り、近い山や森さえなんにも分からないほど雪の深い高原の真ん中へ汽車がはいり出した時分には、皆はもう彼女の存在など忘れたように見向きもしなかった...
堀辰雄 「菜穂子」
...端近くに横になつた...
堀辰雄 「牧歌」
...それを取り次いだので「そんな端近くでも構いませんでしたら――」と返事をさせた...
堀辰雄 「ほととぎす」
...息も出来ないで夢中に木立を抜けた私は縁側から座敷へ馳け上ると突然(いきなり)端近に坐っていた母の懐(ふところ)にひしと縋(すが)って声も惜しまずに泣いた...
水上滝太郎 「山の手の子」
...その端近のところへ来て朝二人ならんで立って...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...雪の日の斯かるけしきを端近く出でて望めど...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...こちらは三郎盛綱というがさつ者でござる」「端近(はしぢか)だ...
吉川英治 「源頼朝」
...大陸の南端近くで...
和辻哲郎 「鎖国」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??