...端近に三寶を二つ置いて...
泉鏡花 「遺稿」
...わざとすずしい端近(はしぢか)な方へ席を取ってほっと一と息入れている夫婦のけはいから...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...それらしいのがをり/\軒端近く来ては囀づる...
種田山頭火 「行乞記」
...最後の船の端近く*壘壁長く造られき...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...大阪の東の端近く...
直木三十五 「死までを語る」
...がんりきの百蔵を端近く呼んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...それだが此(こ)れもそんなことを云(ゆ)つたつて仕方(しかた)がないがね」内儀(かみ)さんは聳然(すつくり)と立(たつ)ては居(ゐ)るが到底(たうてい)枯死(こし)すべき運命(うんめい)を持(も)つて居(ゐ)る喬木(けうぼく)の數本(すうほん)を端近(はしぢか)に見上(みあげ)ていつた...
長塚節 「土」
...氷河の末端近いところにはたくさんできている...
中谷宇吉郎 「雪の化石2」
...端近く絣(かすり)の前を合せる...
夏目漱石 「虞美人草」
...此方へ通すが宜い」「へツ、そこは端近、いざま――ずつと來たね...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう一方の端近くには長いのが一つある...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「黄金虫」
...かならず端近くに出ては雪をながめて居ったものでした...
堀辰雄 「姨捨」
...身の穢れている間は、一日中、何もすることがないので、端近くに出ては、私はそうやってしまいには自分を言いようもなく苦しめ出すのが知れ切っているような物思いばかりをしていたのだったが、或夕方も私がそんな端近くでいつまでもぼんやりしていると、後ろから道綱が気づかわしそうに「もうおはいりになりませんか」と私に声をかけた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...突き当りの病棟の二階の端近くにある病室にはいると...
堀辰雄 「菜穂子」
...春暖漸く催うして鳥の声いとうらゝかに聞えしある日病の窓を開きて端近くにじり出で読書に労(つか)れたる目を遊ばすに...
正岡子規 「小園の記」
...息も出来ないで夢中に木立を抜けた私は縁側から座敷へ馳け上ると突然(いきなり)端近に坐っていた母の懐(ふところ)にひしと縋(すが)って声も惜しまずに泣いた...
水上滝太郎 「山の手の子」
...閑散な家では退屈さに婦人たちさえ端近く出て...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一室の杉戸の端近く座をしめていた天野源右衛門...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索