...」と碗を出して、理学士は、道子が、毛一筋も乱れない円髷の艶(つや)も溢(こぼ)さず、白粉の濃い襟を据えて、端然とした白襟、薄お納戸のその紗綾形(さやがた)小紋の紋着(もんつき)で、味噌汁(おつけ)を装(よそ)う白々(しろしろ)とした手を、感に堪えて見ていたが、「玉手を労しますな、」と一代の世辞を云って、嬉しそうに笑って、「御馳走(とチュウと吸って)これは旨(うま)い...
泉鏡花 「婦系図」
...上段、一階高き床の端に、端然として立つ...
泉鏡花 「海神別荘」
...端然として何の変ったところもないのです...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...端然と掛けている少年の方を目配せしながら...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...端然と坐していた...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...先生はいつも黒い羽織を着て端然として正座していたように思う...
寺田寅彦 「夏目漱石先生の追憶」
...きれいに片付いた六畳ぐらいの居間の小さな火鉢の前に寒そうな顔色をして端然と正座しているのである...
寺田寅彦 「俳諧瑣談」
...此野暮臭い支度をして居ながら女は端然として坐して居る...
長塚節 「佐渡が島」
...正面には白の幔幕が張りつめてあつてチヨン髷結つた七十以上と見えるひよろ/\した老人と若者とが麻裃をつけて端然として居る...
長塚節 「佐渡が島」
...本因坊名人はさつきのまま端然と碁盤に座つて...
野上彰 「本因坊秀哉」
...屹(きっ)と挙げた顔には端然として...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...居住いも崩さずに独り端然と酒盃をあげている人物がある...
久生十蘭 「魔都」
...書斎に入つて端然と机の前に坐つた...
牧野信一 「或る日の運動」
...みそのだけは端然として耳を傾けてゐた...
牧野信一 「淡雪」
...端然と腰かけたなり...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「予言者の家で」
...痩せて小柄な体躯をいつも端然と持して...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...端然と坐っている清麗な佳人の手にある横笛のすさびであった...
吉川英治 「松のや露八」
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若山牧水 「みなかみ紀行」
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