...それでも敷居(しきい)をまたぐと土間のすみの竈(かまど)には火が暖かい光を放って水飴(みずあめ)のようにやわらかく撓(しな)いながら燃えている...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...文太郎は棚を吊つたり竈を買つて來たりする世話までして...
高濱虚子 「續俳諧師」
...与へられた松毬をいちどにどつと惜しげも無く竈にくべたところが...
太宰治 「津軽」
...無理に竈(へっつい)の前に据わって茶の火を焚いた...
田中貢太郎 「花の咲く比」
...時には赤く竈の火を燃してゐるのなどもあつた...
田山録弥 「船路」
...籬が島のあなたからは塩竈を出た小舟が白帆を揚げて走つて行く...
長塚節 「旅の日記」
...勘次(かんじ)は割(わ)つた薪(まき)を草刈籠(くさかりかご)へ入(い)れて竈(かまど)の前(まへ)へ置(お)いて朝餉(あさげ)の膳(ぜん)に向(むか)つて...
長塚節 「土」
...敷居の外に土竈(どべっつい)が...
夏目漱石 「草枕」
...土竈へ眼を移すと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...頑丈な土竈(へつゝひ)を力任せに突いたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...母は欠けた一つ竈(ぺツつい)に破(わ)れ鍋(なべ)かけて私にさる物を買ひに行けといふ...
樋口一葉 「にごりえ」
...当社の竈戸殿に安置すと見ゆ...
南方熊楠 「十二支考」
...アそれには及ばずとて竈辺(かまどへん)の木炭片を採り...
南方熊楠 「十二支考」
...斬るにしても慎重に! (ツッと炭焼竈の釜口の凹みに身を寄せて尾根――花道――の方を見詰める)今井 承知しました! (先刻自分の乗った岩の蔭に身を添えて峠道――自分達の出て来た右袖奥――を睨んで息をひそめる...
三好十郎 「斬られの仙太」
...」竈山の条(くだり)に清原元輔の連歌と細川幽斎の九州道の記とが引いてある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...良三の如きは頭を一つ竈(べっつい)にしてどてらを被(き)て街上(かいじょう)を闊歩(かっぽ)したことがあるそうである...
森鴎外 「渋江抽斎」
...下の竈(かまど)で焚(た)く煙にいぶされながら木賃の屋根裏で寝るときよりも...
吉川英治 「剣の四君子」
...竈場(かまば)の火をのぞき...
吉川英治 「新書太閤記」
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