...』と、嬉しいともつかず、恐しいともつかず、ただぶるぶる胴震(どうぶる)いをしながら、川魚の荷をそこへ置くなり、ぬき足にそっと忍び寄ると、采女柳につかまって、透(す)かすように、池を窺いました...
芥川龍之介 「竜」
...「このままこの船でお帰りなさるがいいね」とそのどてらを着た中年の世渡り巧者らしいのが葉子の顔を窺(うかが)い窺いいうと...
有島武郎 「或る女」
...私の学生時分にさえ所在に窺い知ることが出来た...
有島武郎 「北海道に就いての印象」
...また諸種の例証に徴して新形式を組織的に完成する事にあまり意を用いざりし事実を窺い得る」とデルブリュック教授は論じている...
石原莞爾 「戦争史大観」
...そして夜半に往って窺いてみると然(ようぜん)としていなかった...
田中貢太郎 「陸判」
...窺い知る由もない...
豊島与志雄 「砂漠の情熱」
...誰かが足音を盗んで窺い寄っているらしかった...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...周平はその方を横目で窺いながら...
豊島与志雄 「反抗」
...周平はそれを横目で窺いながら...
豊島与志雄 「反抗」
...江口さんはA女の顔色を窺いながら...
豊島与志雄 「霊感」
...『註文帳』の中に現れ来る人物や事件によっても窺い知ることが出来る...
永井荷風 「里の今昔」
...その細密(こまか)い枝振りの一条(ひとすじ)一条にまでちゃんと見覚えのある植込(うえごみ)の梢(こずえ)を越して屋敷の屋根を窺い見る時...
永井荷風 「伝通院」
...斯くの如き境遇の下に斯くの如き生活が在るという其の真相を窺いたいと冀(ねが)っているに過ぎない...
永井荷風 「申訳」
...私は我知らず頭上の暗く窺い知れない容貌に視線を返し見つめあったのだ...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...生れながら詩を欠いでいるような私の窺い知らない純粋な詩人であるらしい...
正宗白鳥 「弔辞(室生犀星)」
...父と母の不和を湛えた暗く冷い空気の中で育てられた自分ら兄妹には共通したこの両親への窺いがあって...
矢田津世子 「父」
...窺い知らしむるに足らぬのであるが...
柳田国男 「雪国の春」
...開いた入口を見る度に立ち止まって中を窺い...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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