...出口がせまいので少しからだを横にようやく通る窮屈さをいっそう興がって...
伊藤左千夫 「奈々子」
...そして神の子に生れて、摩訶不思議な力を持っているものの世間の狭さ、窮屈さを思って、微かな溜息をもらしました...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...然し筋向ひの西洋料理屋の門前の少し日の當つた石の上に顏は見え無いが未だ若相な女が赤い帽子の赤ん坊を落ちないやうに窮屈さうに腹をこゞめて帶を締め直して居る...
千家元麿 「自分は見た」
...これが不思議にも堪え難い窮屈さから救い出してくれた...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...窮屈さと蒸(む)された人の気息とで苦しくなった...
寺田寅彦 「障子の落書」
...他の乗客の窮屈さに少しでも貢献することを遠慮したほうがよさそうにも思われる...
寺田寅彦 「蒸発皿」
...窮屈さはいっそう甚だしけれど吾一人にもあらねば致し方もなし...
寺田寅彦 「東上記」
...「どうも御窮屈さまでございました」「御苦労さま」そこで按摩にお鳥目(ちょうもく)をやって帰してしまってから...
中里介山 「大菩薩峠」
...窮屈さうに、紫檀の卓に頬肘を突いて、今まで其処に自分のゐた庭に、障子の中硝子を透して集中しない視線を遣つてゐた...
中原中也 「医者と赤ン坊」
...雨が降る日は傘もさされぬ窮屈さに...
樋口一葉 「にごりえ」
...座って見ることの窮屈さに参る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...窮屈さうに坐つた...
眞山青果 「茗荷畠」
...ほんとうにむき出しに自分たちを示すような勉強も調査もスポーツもされない窮屈さがのこっている...
宮本百合子 「明日をつくる力」
...この家にとどまっておいでになる窮屈さもまたおつらくて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...もし彼らがどれほどに賢明な人々にとって義理の窮屈さが重荷になるかを考えるならば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どんな退屈さや窮屈さも忍耐出来るのであった...
横光利一 「旅愁」
...それでも黙り通している窮屈さに...
横光利一 「旅愁」
...主家での窮屈さは知っている...
吉川英治 「私本太平記」
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